黒竹御簾垣

黒竹御簾垣


数ある庭垣の中で一つ好きな庭垣を選ぶとしたら御簾垣(みすがき)になるでしょうか。親柱の内側に縦溝を掘り、そこに横格子を落とし込み、表裏から縦の押し縁を当てて作られる、表裏のない目隠し垣です。場合によっては屋根を付けたりもするのですが、自分的にはこのように杉板一枚をちょこんと乗せるだけで十分だと思うのです。とてもシンプルで洗練されてスッキリしたこの御簾垣が私の一番のお気に入りです。


日本唯一の虎竹で作った御簾垣と言いたいところですが、この黒竹で作った御簾垣がなんとも言えず好きなんです。黒竹の濃い色目がどんなお家にもしっくりとなじみ、庭を引き締めてくれます。そのままの丸竹を使うので、竹素材の良さが非常にわかる垣だと思うのです。


黒竹といっても自然の色目なので、少し色の薄いものや濃いものがあり、その色目をわざと揃えずに作るのが良いようです。あまり色を揃えすぎてしまうと、遠目に見ると人工竹にも見えてしまうからです。また見る角度によって、向こうが透けて見えたり、全く見えなくなったりするのもこの御簾垣の面白いところではないでしょうか。


また、いくらくっつけて並べたとしても竹には節があり、節の部分は膨れているために、どうしても隙間が空いてしまいます。そのおかげで風が通り抜けてくれて、垣が風を遮断することもないのが、この御簾垣の良いところでもあると思うのです。


だから迷われているお客様には選択肢の一つとして、いつも御簾垣をお勧めしてしまいます。でもその分、御簾垣に決めてくれて、施工後出来上がった御簾垣を見る度に、お客様にこれにしてよかったと言っていただける度に、やっぱりこの垣はいいなって思ってしまうのです。