孟宗竹が入荷しました。

孟宗竹が入荷しました。


孟宗竹は日本国内最大の竹で大きなものですと高さが25m、直径が20cmほどにもなる大きな竹です。その大きさや竹の厚みを利用して竹ワインクーラーやストレートネックに効く竹首枕、またお箸やスプーンなどのカトラリー類の材料として、この孟宗竹は多く使われています。


竹虎では主に袖垣の芯の枠組みとして、この孟宗竹を利用しています。竹は伐採時期が決まっています。たけのこの出る時期によって違っているのですが、竹の一番休んでいる状態で、水や養分をできるだけもっていない時期に伐採をします。孟宗竹ですと8月の終わりから11月くらいが伐採時期とされています。


竹の大きさは様々ですが、袖垣の芯材として使用するのにはある程度の大きさを揃える必要があります。孟宗竹は長いので、その長さのままで持って取ってくるのは大変です。元の部分の大きいところは山で切り飛ばし、元の直径10cm前後の大きさに揃えてから、トラックに積み込み、工場に持って帰ってくるのです。


山で立っているときは真っ直ぐに見える孟宗竹も、切り倒して横にしてみると、結構曲がっているのがわかります。竹は3か月で親の大きさに成長し、それから少しずつ身が入って固くなっていくのですが、まだ柔らかい時期に強い風にあおられたり、他の竹や木に邪魔をされてしまったりしてどうしても曲がってしまうことが多いようです。


出来るだけ真っ直ぐな竹を切り、1本の中でも出来るだけ真っ直ぐな部分を探して使っていくことも竹細工ではとても重要なことなのです。

竹を割る

竹を割る


竹を割ると一口に言っても、長さや竹の大きさ、用途などによって様々な割り方があります。菊割りという数枚の刃のついた金具で割る方法や、割りたい幅にけがきコンパスで印をつけて鉈で割る方法など、どんな割竹やヒゴを作りたいかによって割り方を変えています。


内装材として竹を丸いまま壁に貼りたいという場合によくお客様から「竹を半割にできますか?」というお問い合せをいただくことがあります。竹を半割にすることは可能ですが、竹は縦の繊維に沿って割れるため、どうしても割面が波打ってしまいます。


また竹を割ったような性格といった言葉がある通り、竹を縦に割ると一直線に割れるというイメージがありますが、長い竹を真ん中に真っ直ぐ割ることはそんなに簡単なものではありません。


鉈で割ろうとすると、力が入りにくく、また調整もききません。竹虎ではこのように竹を丈夫で動かないところにしっかりと立てて、それに先を割った竹を差し込んで、押しながら割るようにしています。


真っ直ぐ押していくのが基本ですが、どうしてもちょっとした力加減で偏って割れていってしまうので、力を入れる方向を調整しながら、できるだけ真っ直ぐに割るのです。これは職人の技というよりは、知恵と呼ぶほうがしっくりくる割り方です。

原竹の束

原竹の束


竹虎では虎竹や黒竹を専門に扱っています。山から切り出した竹はそのままでは出荷することはなく、必ず油抜きという作業をしてから出荷しています。これはガスバーナーの窯の中に竹を通して、竹をあぶり、竹の中の油をにじみ出させ、表面の汚れと一緒に拭き取る作業で、竹虎では火抜きと呼ばれていますが乾式油抜きや火晒しとも呼ばれる製竹工程です。


竹は真っ直ぐに生えているイメージがありますが、山に生えている竹は思った以上に曲がっているものです。内装材用に出荷される虎竹は、この火抜きの工程で熱せられ、熱によって柔らかくなっているので、それと同時に矯め作業をして、竹を真っ直ぐにして出荷しています。


竹虎ではそういう加工をした虎竹のことを製品と呼んでいますが、油抜きをせずにお客様にお渡しする商品もあるのです。以前は土壁の基礎となる小舞と呼ばれる竹を格子状に編むための材料や、竹ほうきの柄の部分の竹などを、虎竹の色の付きの悪いもので油抜きをせずに加工して出荷していました。今では土壁で家を作るところも少なくなったり、ほうきなども輸入品が横行しているために、ほとんど見られなくなりました。


竹虎で今では唯一と言っていい、油抜きなどの加工をせず、お客様にお渡しする商品がこの原竹と呼ばれる商品です。字の通り、そのままの竹です。これには直径約3cm前後で24本入りの3寸束と、直径約4cm弱で14本入りの4寸束があります。


これは主に造園屋さんや庭師さんなどが木を植えた時の支柱に使うことが多いようです。庭や道路に植えた木はどんどん大きくなるために、そのうち支柱は要らなくなります。その時くらいには、竹はちょうど腐ってくれるため、金属などの腐らない支柱よりは手間も省け、単価も安いために、未だに多くの造園関係の方々にお使いいただいています。


加工して磨きあげられた虎竹も綺麗ですが、やはり山にある竹が生命力もあり、一番綺麗だと感じています。お正月用の青竹の枝折戸や門松など、竹本来の青々とした色もまた竹の魅力でもあります。


原竹のそのままの竹が少なくなるということは、本来の竹というものの使い方が人々の暮らしから少なくなっていることでもあるように思います。竹という物への捉え方や感じ方、価値観など、少しずつではありますが、変わってきているように思います。時代の流れによって当然のことでもありますし、いいことでもあるのですが、少し寂しい気もするのです。

孟宗竹が入荷しました。

孟宗竹


竹虎で取り扱う竹材は虎斑竹、黒竹が主なものですが、虎竹玉袖垣などの袖垣の骨組みとなる土台用に、孟宗竹も扱っています。孟宗竹といえば日本で一番大きな竹で高さが25mに達するものもあるくらいの大きくて身の厚みのある竹です。


孟宗竹のタケノコは大型で肉厚で柔らかく、えぐ味が少ないため食用にされることが多いようです。幹は真竹などには粘りや繊細さでは劣りますが、大きいために幅広のヒゴが取りやすく、四つ目かごやえびら(竹編み平かご)などの少し荒めの籠やお箸やスプーンなど、カトラリーの材料としても使われています。


一昔前、お正月前のこの時期は、孟宗竹を使っての門松作りに大忙しの時期もありましたので、寒空の中での孟宗竹の入荷は、その頃のことを思い出させてくれて、大変懐かしく感じたことでした。


孟宗竹と言えば、今年の夏に「ザ!鉄腕!DASH!!」という番組で大きな孟宗竹を探してきて、巨大水鉄砲を製作した竹です。今年はいつもにまして孟宗竹と格闘した年でもあったように感じ、孟宗竹をより身近に感じたことでした。


時期的にタケノコの生えるのが一番早い孟宗竹は、もうそろそろタケノコを生やす準備を始めるため、孟宗竹の伐採時期は終わります。時期のいい竹をこうして屋根のある場所に大事に保管をしておいて、大事に使っていくのです。

竹のおとし

丸竹


「おとし」とは花かごなどの中に入れて花を挿し、水を入れる筒のことです。今ではプラスチックの物も多く出回るようになっていますが、やはり自然素材の花かごには竹のおとしが一番合っているように思うのです。そのままの丸竹を入れることもありますが、一般的には表面の皮部分を削って、染色、塗装している物が多いと思います。


丸竹の欠点は割れることがあるということです。せっかくの花を挿した花かごも、おとしが割れて水が漏れるようでは台無しです。割れる原因の大きな理由は乾燥です。竹の断面を見て頂くと表皮に近い部分には水の通る維管束がたくさん集まり、中に行くにしたがってその数は少なくなります。その維管束部分が乾燥によって外側と内側で異なった収縮をして割れに繋がっていくのです。


したがって丸竹製品では維管束の多く集まる表皮側を削り取って肉厚を薄くして縮みの差を少なくすることにより、割れにくくしているのです。竹ワインクーラーや竹のビアグラス、そばちょこなどは、その技法の代表的なものと言えるのではないでしょうか。


花かごに入れるおとしとして考えると、その入れる花かごによっては薄くすること以外に、綺麗に磨くということも必要になってくる場合も出てきます。おとしも花かごの一部です。作品として作った花かごのおとしは、その花かごに見合ったおとしでなくてはならないからです。作品作りの最後の仕上げとして、このおとし作りを疎かにしてはいけないと、竹籠作りの先生に教えてもらったのを思い出します。