神祭が近づいてきました

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虎竹の里にある安和天満宮の秋の大祭が近づいてきました。高校生の頃から、竹練り踊りをやってきて、こっちにいない数年を除いてずっと関わってきた神祭です。虎竹の里のような小さい地域では、それが当たり前で、そうじゃないと天満宮の存続さえ危ぶまれていってしまいます。秋の大祭が一番大きく行われるため目立ちますが、歳旦祭から始まり、1年を通じて様々な祭りがこの天満宮では行われています。それには地域持ち回りで神役がおり、代わり替わりでお手伝いをしながらこの天満宮をお守りしています。


この天満宮はこの地域を守ってくれています。天満宮の行事のほかにも、この地域のいろんな場所の神様を宮司が祀ってくれています。竹虎工場横にも安和の川がまとまって海に流れ込むいけごうという淵があり、その大事な淵の神様を祀る池川祭も毎年水害の起こりやすい夏前に行われています。


この地域の東西南北には悪いものが入らないようにと結界のお札が立てられています。いけごうを池川と書ける人もほとんどいないと思いますが、この結界を知らない人もほとんどです。しかし虎竹の山の上り口にもその札はあり、それを見るたびに誰にも知られず、この地域を守ってくれている宮司に感謝の念がわきます。


確かに人は少なくなり、しんどくなってきた部分はありますが、この神祭に若い人を巻き込み、自分たちの住んでいる地域を守り、ずっと続けてきた伝統文化を繋げていくことは日本人として大切な役目でもあると思います。


花取り踊りは6月頃から練習を始めています。竹を持って練り歩き、竹をぶつけ合いながら神様の通り道を作っていく竹練り踊りは9月頃から練習を始めました。


次の日曜にはその竹練り踊り用の竹の伐るために山に入ります。今年の伐採場所はここに決定です。8人が練り歩きながら数か所で竹をぶつけ合うたびに竹が割れるため、交換用も含めて、毎年100~120本ほどの竹を青壮年会のメンバーで伐採します。


虎竹の山の色の来ていない山を選んで、その中で色の来ていない竹を伐採します。いい竹もあるので山主さんと切り子さんの許可を得て、責任を持って伐らせてもらいます。たくさんの人のおかげで今年も秋の大祭が行われます。虎竹と共に少しでもそのお役に立てるのは、虎竹の里の住人としても竹屋としても嬉しいことなのです。

台風一過の虎竹工場

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非常に大きな勢力を持つ台風24号が過ぎ去った週明けの竹虎工場です。すぐ前には太平洋が広がり、海からの風をそのまま受けることから、これまで何度か屋根が飛ばされたり、工場に併設する配送現場の雨漏りでほとんどの梱包用段ボールが水浸しになったりと、何度か被害を受けています。


自分が見回りをするようになってから一番ショックだったのは、高い波と大雨による増水で、工場隣の海に流れ込む川の水が引かず、工場が浸かりそうになり、その上、大きな波がそのまま川に入ってきて、工場に波が打ち寄せている現場でした。


それを見たのは消防団の招集があり、要請現場に向かう途中であり、土嚢を積みながら、波が打ち付けている工場内がどうなっているのかと気になって仕方なかったのを覚えています。幸い雨戸のおかげでガラスが割れることもなく、海に面した工場内部分が水浸しになったくらいで済みましたが、あんな光景を見たのは後にも先にもこの一度だけでした。


台風の上陸回数は年平均2.7個だそうですが、今回の24号で5個となり、例年より多くなっていますし、勢力もびっくりするくらい大きなものが増えた印象です。秋はいろんなイベントや行事ごとがたくさんあり、先日の週末のイベントも中止となりました。


今週末もまた大きな台風が接近するようです。地域の運動会が行われる予定ですが、やれるかどうかは微妙なところです。自然のことは仕方のないことですが、大きな台風でこの虎竹の里はもちろんのこと、日本各地で被害がでないことを願うしかありません。

竹ドームと竹鈴ワークショップ

竹ドーム


虎竹の里の浜で竹を使ったイベントが開催されました。竹で水鉄砲を作ったり、虎竹の鈴を作ったり、孟宗竹でご飯を炊いたりするワークショップを開催したり、竹を半分に割って節を取り、それを繋げてビー玉を転ばす遊びをしたりと、竹が満載のイベントとなりました。


他にもベーグルや焼きそば、箸巻きやかき氷など、いろいろなお店も出店しており、楽しいイベントとなりました。心配されていた天気も回復し、たくさんのお客さんが来場され、それぞれのワークショップでの体験や、おいしいものを食べたり、浜に座ったり、波打ち際で遊んだりと、めいめいが楽しまれていたようです。


竹を使うイベントということもあり、当初からいろいろとお話を伺っていました。竹虎というより、地元のイベントということもあり、個人的にお手伝いをさせていただいた形となりましたが、今回は竹のドーム作りと竹鈴作りのワークショップを担当させていただきました。


竹のドームは直径約6m、4m、2.5mと3つの大きさの違うものを製作しました。一番小さいものは試作として工場で組んでいましたが、大と中は砂浜でお手伝いに来てくれていた高知大学の学生さんに手伝ってもらいながら組み上げました。


ドームの屋根部分を平面で組んでおいて、それをみんなで持ち上げて立ち上げるとドーム状に立ち上がります。それを作っておいた輪の中に収め、横の部分に補強の竹を入れて出来上がりです。たくさんの学生さんにお手伝いしてもらったおかげで、楽に組みあげることができました。


竹鈴のワークショップは20人限定としていましたが、大人と子どもが10人ずつくらいに考えていました。しかし来てくれた人は全員が小学校の低学年くらいの子どもさんばかりで、竹鈴を編むのにすごく苦労してしまいました。楽しく竹細工を体験するということができなかった子どもさんもいたようで、申し訳なく思いました。


苦労した甲斐もあり、なんとか完成させ、最後には楽しかったと言ってくれる子もいて、救われた気持ちになりました。こちらのワークショップも高知大の学生さんにお手伝いをいただき、本当に助かりました。一人ではとてもみんなに時間内に完成をさせることはできなかったと思います。


1年前に土佐山アカデミーさん主催の「地域おこし未来会議」が虎竹の里で開催され、その時に出たイベントの案が形は変わりましたが、なんとか実現となりました。地元のイベントではありましたが、自分は何もお手伝いはできず、竹ドーム製作とワークショップだけのお手伝いとなりました。


県の地域支援員さんをはじめ、多くの外部の方の協力でなんとかできたイベントのように思います。地域イベントでありながら、地域の方の参加の少なさは残念でした。地域にお世話になっている竹虎も、もっといろんな協力を求められているのを感じます。ワークショップの失敗をはじめ、地域との関りについていろいろと考えさせられたイベントとなりました。

ハマルシェ

割竹


今月の17日に虎竹の里の浜でハマルシェというイベントが開催されます。竹トンボ作りや竹めし、竹水鉄砲作りなどの竹をふんだんに使ったイベントだそうです。自分は参加しませんが、竹を使うということで、竹の伐り方や使い方などのアドバイスを何度かさせていただきました。


しかし、竹を使うイベントなのでどうしても竹の大きなドームを作りたいと相談され、やるなら自分でやったほうが確かで早いと思い、自分で準備することになりました。


長さ4mの割竹で試作をしてみると、直径2.5m、高さが1.3mのドームが出来上がりました。どんな物でもそうですが、見て考えるだけなら簡単そうに見えます。このドームも簡単に考えていましたが、実際にやってみると思ったより難しく気になるところや、納得いかないところがたくさんあり、てこずってしまいました。


本番はこのドームの1.5倍と2.5倍のドームを作る予定です。6mの割竹はそのままで、10mの割竹は5mのものを接続して使います。材料だけを取っておいて、あとはぶっつけ本番です。この大きさでどうなるのか、少し心配ではありますが失敗するつもりは毛頭ありません。


失敗の許されない仕事であれば実際にこの大きさで1度組んでみますが、そこは地元のイベントです。実際に自分でやることが1つの経験となります。失敗したらしたでいろいろ学ぶこともあり、それはそれで笑い話にもなって面白いなと、主催者には申し訳ないですが、密かにそんなことも考えて引き受けたドーム作りなのです。

虎竹の里の夏祭り

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今年も虎竹の里で夏祭りが行われました。自分たちが子どもの頃は盆踊り的なお祭りが開催されており、そこに遊びに行った思い出がありましたが、いつの間にかなくなっていました。あとはこの地域のお祭りと言えば安和天満宮の秋の大祭ですが、花取り踊りや竹練り踊りなど、子どもの頃から踊っており、子どもたちの多くは遊びに行くというより参加型のお祭りになっています。


竹虎のある高知県須崎市には2尺玉が上がる大きな花火大会や、竜踊りのあるお大師様など、大きな楽しいお祭りがたくさんあるのですが、なんとか地元で子どもたちが連れだって歩いて行けるお祭りをしてあげたいという想いから、地元青壮年会が立ち上げたお祭りです。


小学校の生徒数30人ほどの小さの地域です。保育園児を入れてもそんなに子どもは多くありません。でもお盆の時期に開催するので、帰省されていたり、遊びに帰って来ている家族が来てくれ、子どもたちも多く参加してくれて、小さいながらもそれなりに賑やかなお祭りになっています。


また子どもたちの楽しみだけでなく、帰省してきたり、遊びに来てくれた大人たちもこの場に来てくれたことで、懐かしい再会がたくさんあり、そんな光景を見られるのも、このお祭りの楽しみの一つでもあるのです。


こんな小さな地域でも青壮年会のメンバーが25人ほどが集まり、いろんな出店や催し物、花火などを手分けしてやっています。毎年人数不足が懸念され、ギリギリのメンバーでの運営ですが、この地域と人が大好きなメンバーで、よそに住んでいるにもかかわらず、イベントの時には来てくれるメンバーもいます。


毎年、準備から片付けまでクタクタになるお祭りですが、この素敵なメンバーたちと一緒にやれるのは本当に嬉しく、この地域に生まれ、住んできてよかったと思えます。そのメンバーの着る青壮年のTシャツの肩には竹虎のマークが入っています。嬉しくもありますが、この地域にまだまだ何も返せていないことに申し訳ない気持ちになるのです。

都忘れ

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都忘れは本州、四国、九州に自生するミヤマヨメナの和名だそうで、花言葉は「しばしの別れ」や「また会う日まで」だそうです。先日退社されたスタッフさんが事務所前の空いたスペースに、自分で土も買ってきてくれて、この都忘れという花を植えに来てくれました。


この方は庭いじりが好きで、休日にはいつも自宅の庭の草を引いたり、花を育てたりしているということをよく聞いていましたし、好きな花が都忘れということも聞いていました。竹虎にいる時も、駐車場の掃除や、植え込みの整理などを、いつも率先してやってくれていたような人です。


竹虎本社事務所前には「竹の子の、また竹の子の、竹の子の子の子の末も茂るめでたさ」と刻まれた石碑があるのですが、その裏にはほとんど何も植えられてない殺風景なスペースがありました。しかし事務所入り口ということもあり、気になっていたのですが、その方も気になっていたらしく、その場所に都忘れを植えてくれました。


乾燥を嫌う花と言うことで、毎日お水をやってくださいと頼まれた事務所のスタッフが毎朝水をかけて世話をしてくれたおかげで、都忘れが数日後には花を咲かせ始めました。


花とかには全く興味もない自分でしたが、毎朝出勤するたびに、その花を見ては彼女を思い出し、いつこの花を見に寄ってくれるのかと、花言葉の「また会う日まで」を思い出すのです。

懐かしい来訪者

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以前、竹虎の配送スタッフだった4人が、この3月で退社される配送スタッフさんに会いに来てくれました。できればまだまだ竹虎で勤めて欲しかった方ばかりなのですが、結婚をされて環境が変わったり、家の事情などで退社された方ばかりです。


4人とも竹虎に入社してからは、最年長のこのスタッフに厳しく、そして優しく指導を受け、いつも和気あいあいと仕事してくれていました。その最年長のスタッフが今月定年退社すると聞きつけて、プレゼントを持って会いに来てくれたのです。


退職されるスタッフにわざわざ会いに来てくれた気持ちも大変嬉しかったのですが、竹虎を退職してからも4人が仲良く連絡を取り合っていることを知り、また4人揃って仲よく竹虎に来てくれて、嬉しい報告を聞けたり、幸せそうな顔を見れたことも嬉しかったです。


竹虎に入社してくれた社員さん全員の大切な人生にとって竹虎が少しでも役に立て、少しでも楽しい出会いや思い出があり、人としての成長があり、竹虎に入ってよかったと思ってもらえるような会社になりたいといつも思います。


竹虎という会社で繋がった4人が仲良く、そして退職してからも、竹虎のスタッフに心に心を配ってくれ、会いに来てくれることは本当に自分にとっても嬉しい出来事でした。


そしてこうやって会いに来てくれるのは定年退職されるスタッフさんの人柄です。竹虎での彼女の存在はそれほど大きく、ありがたく、感謝しかありません。これからも社員仲よく、厳しく、そして共に成長できる竹虎でありたいと思うのです。

鏡開きのお餅

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お正月を迎えるにあたって、どちら様も鏡餅を飾られることだと思います。竹虎本社も仕事納めの日に、大掃除をし、机の上やトイレ、工場内の機械類の上やトラックなどに一年間の働きに感謝し、鏡餅をお供えし、歳神様をお迎えしたことでした。


その各所にお供えしていたお餅を鏡開きの日に集め、一番の年長のスタッフがおしるこを作ってくれた中に焼いて入れて食べました。誰が頼んだわけでもないのですが、毎年黙って作ってくれている、ありがたいおしるこです。


今年は3時の休憩に工場の職人も呼んで、みんなで食べることができました。声はかけていたのですが、甘いものが苦手な人もおり、正直食べに来てくれるか不安ではありました。でも作ってくれた人への感謝の気持ちと鏡開きのお餅を食べるという気持ちで、4人が揃って食べに来てくれたことは、すごく嬉しかったです。


こうやってスタッフ同士が仲良く、和気あいあいと協力してやれる所が竹虎の一つの大きな力になっており、いつもどれだけ助けられているかわかりません。正直、自分も甘いものは苦手なのですが、今日のおしるこは本当においしく、ありがたく頂きました。


今年も一年みんなに支えられながら、そして一緒に頑張っていけたらと思います。しかし、この作ってくれた年長のスタッフは今年で定年を迎えます。このスタッフのおしるこも最後だと思うと、熱々で甘くてたまらないおしるこも、少しさみしいおしることなりました。

虎竹の山に雪が積もりました。

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虎竹の山に雪がうっすら積もりました。南国高知でもこうして1年のうちに何度か雪が降ったり、積もったりしますが、こういう景色を見ると冬の寒さが来たことを実感します。


しかし山の職人さんは虎竹は寒さが来ないと色が来ないとみんなが口を揃えて言っており、虎竹の里ではこのような寒さを待っているのです。以前は霜が降りたり雪が降ると、その虎竹の色つきを確かめたくて山に入っていったものでした。


頻繁に入っていないとわからないことではあるのですが、一度だけ雪の後に山に入ると、少し前に来たときよりもぐっと色の付いたと思えることがありました。その山を実際に見てからは虎竹の色と寒さには本当に関係があると実感しています。


この寒さの中、今日の竹虎工場内はガスバーナーを使っての油抜きです。夏の暑い時には地獄のようなこの作業も、今日は暖かく感じられ、1枚上着を脱いでの作業となるのです。

虎竹の伐採シーズンとなりました。

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虎竹の伐採シーズンとなりました。竹は種類によって多少のズレはあるものの、一般的に秋から冬にかけてが伐採時期となっています。虎竹を伐ってくれる切り子さんと呼ばれる方たちも、山の下草刈りから始め、今は伐採のために山に入ってくれています。


真竹やハチクなどは束買いといって、大きさによって束の入り本数が決まっていて、この大きさは1束いくらという値段を決めて、束のまま取引していました。黒竹も入り本数買いと2尺束といって、束の円周が2尺(約60cm)の束にして、1束の値段を決めて山主さんなどから買ったりしています。


虎竹はそのような一般的な竹の取引とは全く違った取引方法です。切り子さんが伐り出した竹を土場という広場に降ろし、大きささや色のあるなしによって20通りの規格に選別します。その選別した竹をさらに自分が25通りに分けて選別し、値段を決めて取引しています。


このように山から伐り出された段階で、規格に合わせて1本1本全ての竹を吟味して選別するのは、この虎竹の里だけの光景ではないでしょうか。それは山に生えている虎竹すべてにまんべんなく綺麗な色がついているわけではなく、虎竹として出荷できる竹は一部しかないためです。


毎年この時期になると、この土場には竹がこうやって広がり、虎竹の里では当たり前の光景になっています。しかしこれも決して当たり前ではなく、切り子さんが山の道を通れるように整備し、下草を刈り、そして虎竹を伐採し、枝を打ち、束にして運びだして来てくれるおかげです。


こうやって出てきた竹を見るたびに、切り子さんの山や山道を想い、その伐採や運びだしの苦労を思います。切り子さんをはじめ、先人、地域の方々、そして共に働いてくれている竹虎の素晴らしい仲間たちのおかげで竹虎は今年も日本唯一の虎竹を扱い、竹屋をやってこれました。


来年も虎竹や全ての人への感謝をいつも忘れず、その人たちに少しでも報え、応えていける自分にならなければと思うのです。