虎竹の里の結界

虎竹の里の結界


結界と言えば仏教や神道などにおいては、いろいろなものの境界として考えられて、段差やしめ縄などでその区域を表したり、またその境界を表す物をそう呼ぶこともあるようです。また茶道においてはお客さんと、もてなす側の境界を結界と呼ばれる物で仕切るのですが、これには竹を使った物が多く、竹材業の人間としては結界と言えばお茶の席で使う竹の間仕切りとしてなじみのある物でした。


この虎竹の里にも結界というものが張られています。これは春祭りの際に安和天満宮から出されるお札を、毎年地区の総代が竹の先にそのお札をつけて、東西南北の四方に立てています。それと併せて、あまり知られていないようですが、虎竹の里の中心とされる燈明台と呼ばれる石灯籠にも、このお札を立てて、この里を禍や魔物から守ろうとしています。


東は須崎寄りの領久のてっぺん、角谷との境。西は焼坂峠頂上。南は大神の尾根。北は本谷林道の突き当りの尾根。以前はこの四か所に立てられていましたが、今はそこまで行くのも大変ということで、それぞれの麓付近や車で行ける、できるだけ近いところに立てて、結界としているようです。


虎竹の山に向かう時に頻繁に行き来する焼坂峠の上がり口にも、このように地区総代によって、お札が立てられています。麓に立てられた分、目にすることが多くなりましたが、その反面、このお札の意味さえ知らない人も多くいるようで、残念でなりません。


このように目に見えるもの、目に見えない多くの物に虎竹の里をはじめ、竹虎も守られてきました。これを見るたびに、こういうことをずっと伝えてきた先人に対する尊敬の念と感謝の気持ちと共に、伝えることや守ることの大切さをひしひしと感じ、この気持ちをずっと大事にしていきたいと思うのです。