虎竹の身の厚み

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竹は丸く、中が空洞になっているため、しゃもじなどの平たい物や、お箸などのある程度厚みあるものを作る場合は大きいもので直径が15cm以上もあり、厚みのある孟宗竹が材料として使われることが多いです。


虎竹はハチクの一種ですので、孟宗竹のように大きくはならず、大きいものでも直径8cmほどの竹です。また竹の身の厚みも他の竹に比べると薄く、大きくて、身の厚みがあり、綺麗な色がついた虎竹は伐り出される虎竹の中でもほんの一部しかありません。


それでも虎竹は日本唯一の竹であり、その自然の美しい模様で作られたお箸などは、竹虎でも人気の商品の一つとなっており、材料となる、大きくて厚みのある竹の確保は、虎竹の入荷最盛期の今が一番大切な時期でもあるのです。


名人作 虎竹耳かきもそんな材料が必要なものの一つです。持ち手の厚さによって持ちやすさは大きく違ってきます。耳を掻くという大変デリケートな道具だけに、持ちやすさにこだわり、出来るだけ厚みのある材料だけを使って製作しています。


今年も少しでも多くのお箸や虎竹耳かきなどを製造できるようにと、一本一本選別された虎竹の中から、またさらに用途に合わせて細かく選別しています。そしてその虎竹を無駄にしないように、大事に製作に取り掛かるのです。

今年も新竹が出てきました。

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今年も虎竹の山から新竹が出始めました。虎竹の伐採時期は11月~1月くらいまでで、11月から伐採するそのシーズンの竹のことを竹虎では新竹と呼んでいます。ですから虎竹の新竹とは新しい年明けからの竹ではなく、シーズンの始まりの11月頃からの竹となります。


毎年切り子さんが10月頃から山に入り始め、下草を刈り、運搬機の通る細い山道を整備して、やっと伐採が始まります。この時期に伐採すると虫が入りやすかったり、腐りやすいとされているつちの時期が10月15日から10月29日の間だったため、その後に山に入り始めた人が多いようです。


虎竹は1年目は青々とした色をしており、2年目くらいから少しずつ色がついてきます。虎竹の模様がつくのは土の中の細菌が作用していると言われていますが、はっきりとしたことはわかっていません。でも日当たりや気温によって色付きが違ってくるということは長年山にいる人にはなんとなくわかっています。


霜が降りるくらいのグッと気温が下がった時に色が乗ってくるといわれていますが、最近では温暖化によって、虎竹の色つきが思うように来ていません。ついこないだまで暖かい日が続きましたので、まだまだ色のつき方が少ないようです。


とはいえ、今シーズンの虎竹が山から下りてきます。この竹を竹虎の職人が2トントラックに乗って、取りに来ます。山から下した虎竹を広い土場に下して広げ、1本1本大きさや色つきによって選別していきます。虎竹の里でしか見られない竹のシーズンが始まりました。

虎竹の里の水鉄砲

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竹の水鉄砲といえば2013年に「ザ!鉄腕!DASH!!」で放送された長さ15mの巨大水鉄砲作りを思い出します。あのときは番組のADさん二人が1ヶ月もこの虎竹の里に滞在し、朝から夜遅くまで、一緒にどうやって巨大水鉄砲を作ろうかと考え、いろんな方法を何本も試作しながら作ったという楽しい思い出があります。


水鉄砲といっても今はプラスチック製のいろいろな種類の水鉄砲があるようですが、昔ながらの竹の水鉄砲も親子やイベントで手作りしたり、水の出かたもさまざまで、それはそれで味のあるおもちゃです。


節を一節つけて、その節に水の出る穴を開け、穴の大きさで水の勢いや出る量が変わり、押す棒に巻きつけたスポンジや布の感じで綺麗に水を押し出せるか、あるいは緩いと水が手元のほうにかえってきてしまったりと、簡単に見えてなかなか難しいおもちゃではあります。


水鉄砲を保育園の親子イベントで手作りをしたいので、材料がありませんか?とのお問い合せをいただきました。しかしお客様が思われているような白竹ではなく、ここは虎竹の里です。筒はもちろん虎竹で作り、押す棒は細い黒竹で作りました、


保育園児ですので、水鉄砲自体も初めて手作りする子どもたちがほとんどだと思うのですが、その素材自体も日本唯一の虎斑竹で、初めて見る園児がほとんどではないかと思うのです。水鉄砲作りの思い出と共に、虎斑竹という竹のことも少しだけでも知ってほしいと思うのです。

2016年の初荷がでました。

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毎年毎年暖冬と言われていますが、今年の冬も虎竹の里は正月らしくないほどの暖かさでした。虎竹は寒さが来ないとなぜか色つきが悪く、寒さを待っているほどですが、それでも新年早々に山からトラック一杯分の虎竹が下りてきました。


年末の12月20日につち入りし、1月3日までは竹の伐採ができません。竹が伐採できない間に切り倒した竹の枝を打ち、ある程度の大きさの束にして、山に盛り上げておいたものを、新年の仕事始めの朝にトラックに積み込んで、山から下してきたのです。


下してきた虎竹は一旦土場と呼ばれる広場に下されます。そしてこの虎竹を切り子さんが大きさや色付きによって選別し、振り分けながら広げていきます。その選別して振り分けた虎竹を、今度は自分が再度選別し直し、本数を数え、買い取ります。


虎竹が土場に広がるようなところは日本でここだけです。またその山から出た竹1本1本を選別しながら買い取るような竹屋もここにしかないと思います。すごくめんどうな、無駄なことをしているようですが、それが日本唯一の虎竹を扱う、竹虎だけの仕事なのです。

寒さが来ん、色が来ん

寒さが来ん、色が来ん


今年も虎竹の伐採の時期がやってきました。温暖化の影響なのか、年々暖かくなってきたと言われますが、今年はまた余計に暖かいように思います。


例年ですと虎斑竹は10月ころからだんだんと山に入り始め、山道の草を刈ることから始め、竹を切り、枝を落としてから束にして、ある程度の量になったらまとめて山から下してきます。11月も終わりに近づいているこの頃にはもう何台か虎竹が出始めていないといけない時期です。


虎竹になぜ虎模様の色がつくのか、はっきりとはわかっていません。また虎竹の山は全部が虎模様のできた竹ばかりと思われている方も多いようですが、その割合は2~3割程度です。あとは色がほんの少しある竹や、まったく色の無い普通のハチクです。


虎竹は生えてきた時は青々とした竹なのですが、だんだんと虎模様がついてきます。その色がついてくる要素の一つとしてて寒さがあります。霜がおりて、ぐっと寒くなったころからだんだんと色がついてくるようなのです。


ですから以前からこの虎竹の里では寒さを待っているところがあります。切り子さんが山に入るタイミングもこの寒さに影響されることが大いにあります。「まだ山に入らん?」との問いかけに、「こんなに温いも」と返ってきます。寒いのは嫌いですが、毎年冬の寒さを心待ちにしているのです。

虎竹の入荷もそろそろ終わりです

虎竹の入荷もそろそろ終わりです


竹は秋から冬にかけてが伐採の時期とされ、その時期に切った竹は虫が入りにくく、腐りにくいとされています。これはこの時期が竹が休んでいる時期で、水分も養分も一番少ない時期とされているからです。虎竹も同様で、1月までが伐採時期としています。


しかし1月いっぱいで竹が出てこなくなるということではありません。切り倒した虎竹の枝を払ったり、束にして山から下してくるのには大変な手間がかかり、時間もかかります。その竹がまだこの時期になっても出てくる理由なのです。


こうして山から下してきた虎竹を、大きさや色付きによって1本1本選別していく作業もそろそろ終わりに近づいてきました。次はこの竹を竹虎工場に持ち帰り、用途や規格ごとに分けて切断していきます。


切断された虎竹は、残った枝を打ち、油抜きや矯め作業をして、やっと綺麗な、美しい色の虎竹になっていきます。入荷が終わればこれからは、工場内で虎竹の製造作業が本格的になっていくのです。

タルキ

タルキ


竹虎の中でタルキと呼ばれる虎竹の部材があります。虎竹は大きさにもよりますが、6~8mほどの長さで竹虎工場に運ばれてきます。その竹の根元のほうから4mほどの規格にカットし、それを虎竹の4m物として製品にしていきます。


大きい竹はある程度先の方まで大きさがあり、4m物を取った先でもある程度の大きさのある物があります。ある程度の大きさのあるものはタルキとして7尺(約2.1m)ほどにカットしていきます。


竹は元のほうは節間も短いですが、先に行くにしたがって節間が長くなっています。タルキとして取る竹は節間が30cm以上ある物も多く、今ではほとんどの竹が虎竹丸切り竹の材料として、それぞれの取れる長さでカットされてストックされています。


いろんな竹細工の材料として、ある程度の長さの中で節の入らない材料が必要な場合はよくあることです。1本の竹からその節間の竹だけを取って使うとなると、使えない部分が多くできて、コストアップや無駄に繋がります。


必要な長さの節間の竹だけを使えると無駄も出来ずに、効率も良くなります。そういった意味でこのタルキをカットした虎竹丸切り竹は1本の長い竹をお買い上げいただくよりも、ちょっとした竹細工などにお気軽に、お試しにお使いいただくのには使いやすい材料だと思うのです。

梅雨時の虎竹の山

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竹には伐採時期があって、竹の種類によって時期が多少の違いはありますが、秋から冬にかけてが伐採のシーズンです。この時期に山に行くことは、お客様が来られて、虎竹の山が見たいとおっしゃられてお連れするか、山から出た水が山道を削ってしまわないように、所々雨水の逃げ道を作りに行くくらいのものです。


ですから、あまり見る機会も多くはないのですが、この時期に山に入ると、このような虎竹の青々とした姿を見ることが出来るのです。


油抜きをして綺麗になった虎竹しか見たことのない人の中には、あんな綺麗なままの竹が山に立っていると勘違いされている方も中にいるようですが、虎竹が最初から色のついた竹として生えてきていると思っている方も多くいるようです。


同じ色のつく竹の黒竹もそうですが、最初はこのような青々とした竹で生えてきて、少しずつ色が落ち着き始め、色のつく竹は少しずつ虎模様が出始めてくるのです。


この竹も隣に立っている色付きの虎竹と根が繋がっているように思います。今は青々として柔らかい竹ですが、3~4年をかけて、ゆっくりと実が入って固くなり、そして色つきの虎竹に成長していくのです。

最後の山出し

山出し


虎竹は切り子さんと呼ばれる虎竹を伐採する専門の職人が、山に入って伐採をしてくれています。虎竹の山から、運搬機を使って細い山道を虎竹を積んでトラックの入れる道まで下してきます。下してきた竹はこのように道の脇にトラック一台分になるまで積み上げて置いているのですが、この山に出た竹をトラックで積みにいくことを竹虎では山出しと呼んでいます。


伐採時期である秋から冬にかけての時期は、この山出しという作業が頻繁に行われています。3人一組の作業で、2人が下から竹をトラックに積み、1人がトラック上からその竹を整理したり、引っ張り上げたりしながらの作業となります。


そうしてトラックいっぱいに積み込んだ竹を、土場と呼ばれる虎竹の選別場に下し、またその竹を土場いっぱいに広げて選別作業をするのです。切り子さんが山で束にした竹を、また解いて、そして大きさや色で選別したものをまた束にし直してから、トラックに積み込んで工場に持ってきて、規格や用途に合わせて切断していくのです。


竹虎工場内に立ててある虎竹も、切り子さんが山に入るために草の下刈りをすることから始まって、たくさんの手間をかけてやっと工場に入って来るのです。


山出しが終わると、次の伐採時期までは虎竹の入荷はありません。外でやる作業が減り、これからは工場内に取り込んだ虎竹の油抜きや矯正作業、いろいろな商品作り工場内で本格的にやっていく時期になっていくのです。

虎竹結界

エントランスに飾ってある絵画と人に少し距離を置く結界のようなものができないかというお客様にご提案した虎竹の結界です。最初は白竹のようなイメージだったようですが、虎竹でのご提案をさせていただきました。


どんな場所なのか、どういう雰囲気で、どういう感じの場所なのか分かりませんので、白竹では少し和のイメージが強すぎるように思ったからです。竹を使うとどうしてもそういうイメージありますが、虎竹や黒竹のような色目ですと、どんな場所にも違和感なく、モダンな感じで置けるように思うのです。


今回も作ってみて、こうして置いてみると、やっぱり虎竹がどんな場所にも違和感なく置けて、その空間を締めてくれるような気がしています。この虎竹結界を見られた方がどういう風に感じるのか知りたい気もありますし、またこうして一人でも多くの方に虎竹を見てもらい、知ってもらえるきっかけになればいいなと思うのです。


虎竹結界