リニューアルした男の桐下駄

桐下駄


桐材は軽くて、吸湿性もあり独特のやさしい木肌である事から、下駄としても昔から多用されてきちょります。表面をムラのないように焼いた後に、丁寧に磨いて艶をだす焼き磨きという技法で製造された下駄は、「桐」だけに足元を「キリッ」引き締めてくれるような見た目の渋さだけでなく足入れもスムーズで、こじゃんと履きやすいがです。


こんな鼻緒の履き物の嬉しいところは、何ちゃあ浴衣や着物の必要がないところではないですろうか。いつもの作務衣やったら和風やきに、もちろんバッチリ似合いますけんど、ジーンズにTシャツのような格好にも意外と合わせる事ができて、そのままちょっとしたお出かけなどにも悪くないので、下駄はかなり優秀な履き物ですぞね。


鼻緒リニューアルした男下駄


男の桐下駄の鼻緒がリニューアルとなって鼻緒の柄が変わりましたけんど、「男」と名前が付いちゅうきに男性しか履けないかと言うとそうでもなく女性で足の小さな方でも、もっと言うとお子様でも鼻緒を指にひっかけたら誰でも使う事ができるがです。ひとつのモノを家族中で共有できる履き物というのは下駄くらいぞね。


前に江戸時代は、こじゃんとエコな暮らしをしていた時代と何かで聞いた事があるがです。当時、履き物と言うたら下駄か雪駄しかなかったと思いますが、鼻緒の履き物は少々の足の大きさを気にすることなく、誰でも使うことができて最後まで無駄になりませんので、日本人の「もったいない」というモノを大切にする心にもピッタリのエコな履物と言えるかも知れんと思うがです。


虎竹下駄の変遷

虎竹男下駄


下駄好きの方のみならず夏の夕涼みの散歩には下駄が一番ですろう。ご存じのように下駄は台が硬く長距離を歩いたり、立ちっぱなしだったりしますと、こじゃんと足が疲れる事があります。履き慣れない方やったら鼻緒で足が痛くなったりもするがです。けんど、日頃履かない下駄だけに、下駄の鼻緒に足を入れてこそ味わえる時間もあるように思うちゅうがぜよ。


そうそう、下駄の素晴らしい所の一つとして、一つの下駄を家族全員で履く事ができる事がありますちや。足のサイズを、それくらい気にしなくても良いがです。現代みたいにモノのあふれる時代ではなかった頃には、下駄は家族で履き回ししたとも聞きます。つまり小さいお子様から大きなお父さんまで、靴のようにサイズをぴったり決めなくともお使いいただく事ができる便利な履き物ではあるがです。まあ、もちろん歩きやすさや格好はあるがですが...。


さて、虎竹を台に貼りつめた下駄は、もう何十年と愛用しよってから、何足履いたか分らないくいらですぞね。自分の場合はガニ股で歩き方が悪いのか、下駄がこじゃんと(とても)片ちびりして、左右入れ替わったら、とてもや無いですが歩きにくいくらいです。今日は、そんな古い竹下駄を奥の方から取り出してきて、最近の虎竹男下駄と見比べてみましたぞね。下駄の変遷と言うたら、ちっくと大袈裟かも知れませんけんど、両方の下駄を見比べたら微妙な違いがあるがです。よくよく見てみないと分かりませんが、実は、新しい下駄の虎竹の細工の方が細かくなっちょります。


虎竹を四角い形に切り取って下駄の台に貼り付けていますが、この四角の一つ一つのパーツが少しだけ小さくなって、以前の数より、より多くが使われちゅうがですちや。これは、どうしてかと言いますと近年の虎竹の里の山々の事情そのものながですぞね。竹は一年の中でも寒い時期にしか伐採しませんので、その年にあるだけの材料でしか製品は作ることができません。今年は、ちっくと大きな竹もありますけんど、ずっと毎年のように太い虎竹が少なくなっちょりましたので、直径の小さな虎竹しか使うてもらう事ができませんでした。


竹はご存じのように丸みがありますので、細い竹では下駄の台の平面に綺麗に竹を並べられるような平たいパーツを以前と同じ大きさでは作る事が難しくなったがです。そこで、細い竹なりにパーツも小さくして、より多くのパーツで虎竹下駄を製造するという作り手の工夫があるがぜよ。それぞれの良さがありますけんど、虎竹模様の自然な美しさは、細い竹ヒゴを編み込むよりも、こういう使い方が一番ぞね。夏の夕涼み、皆様もどうですろうか?


竹皮男下駄の散歩道

竹皮男下駄


カラン、コロンと乾いた音をさせて竹皮男下駄の夏がやってきますぞね。久しぶりに足を入れると、ああ、これこれ。この足裏への心地良さやきに。思うたら、この竹皮下駄の製造にも色々ありましたちや。一時期、歯下駄を頻繁に履く時期があって一足履きつぶしてしもうたがです。自分はガニ股らしく、後ろの歯が極端に斜めにちびてしまいます。新しい下駄を、あれこれ探してみましたが、ついに自分が履きたい下駄が見つからず、それやったらちっくと作ってみようと考えたのが始まりやったです。初めての一足仕上がった時には、まっこと感激やったぜよ。あれから何年ですうろか?


昨年の夏の終わりに履きはじめたばっかりの下駄。秋以降は履く機会もありませんでしたので、鼻緒がギュッと足を少しきつめに締め付けるのも何か初々しい感じで嬉しいがです。高さ6センチ、何と言うことのない高さのようで、実は履いたら景色が違いますぜよ。いつもとは違う風景が広がっちゅうような気がして、別段用事もないけんどカラン、コロンと近くを散歩してみます。


まっこと、不思議ぜよ。履き物が違うだけやのに歩く速度が違う。日頃、あまり感じたことのない風が田植えを終えた向こうから吹きゆう。いつもは見過ごしよった古い木の電柱に足が止まる。あぜ道の脇の小川の音が聞こえてくる。なんか贅沢な、ゆったりした気分で歩かせてもらえて豊かな気持ちになってきましたきに、だんだんと沈みかけた夕日もまた、こじゃんと綺麗に見えてくるがぞね。


帰ってきた八割BLACK

八割下駄


八割BLACKがリニューアルして帰ってきましたぞね。まっこと(本当に)お待ちどうさまでした(^^)


ええっ!?「八割」をご存じないですろうか?


まあ、それも仕方ないかも知れませんちや。以前は結構履かれよった履き物で、高知では昔ながらの下駄屋さんには置いてありました。けんど時代の流れと共に段々と見る機会が少なくなって風前の灯火となったところで、近年、鼻緒の履き物が見直される中この八割下駄は、桐台が一枚の板ではなくて、それぞれが独立した構造になっちょりまして、こじゃんと、ソフトな履き心地!まっこと、下駄とは思えないようなフィット感があるがです。そんな履きやすさが口コミでひろがったりして、下駄に馴染みのない若い方にも受け入れて頂き静かなブームとなっちゅうがです。


八割BLACK


さて、今回リニューアルした八割BLACKですが、色々と進化したところがありますけんど一番のこだわりは何と言うたち鼻緒ながです。まず、生地選びからはじめました。黒で統一したいという思いは最初から変わっちょりませんので、鼻緒に使えそうな色々な生地を取り寄せて検討し、素足に感触が一番心地よかった細い縦縞のコーデュロイ生地に決定したがです。


もともと八割下駄は歩きやすく動きやすい履き物。だから、とにかく極太の鼻緒でしっかりと足をホールドして鼻緒の履き物としては格段の歩きやすさを実現したいと思うちょりました。鼻緒職人さんとは何度も何度も試作をやりなおし、太さと、芯にいれる素材なども変えてみたりしましたぞね。


何を隠そう今度の八割BLACKは鼻緒が、こじゃんと(とても)すげにくいのが特徴のひとつ。底に開いた楕円形の穴に鼻緒を引っ張りこんで、しっかり結んでいくのは結構大変な手仕事ながです。この、すげにくい八割にギリギリの太さの鼻緒作りが一つのポイントで歩きやすさと、作り手のせめぎ合いのような所がありましたちや。一応の形になって本日皆様にご紹介させていただきますがこれで終わりではないがです。お客様のお声に耳を傾けながらこれから八割BLACKが始まるがと思うちょります。


新・八割BLACK

八割


虎竹の里も流石に寒くなっちょります。こう冷えますと足元は竹布五本指ソックス竹皮スリッパでは、早朝など外に出にくい事もあるがです。けんど、日中はぽかぽかと暖かくなってきますきに、やっぱり履きなれた鼻緒の履き物がサッと引っかけて出かけるには便利ぞね。


ところで、竹虎には虎竹や竹皮の下駄をはじめ、何種類かの下駄を販売させていただいちょります。その中に「焼き磨き」と言われる木下駄の製造方法があるのです。桐材は昔から軽くて吸湿性があり、高級下駄の材料として多用されてきた木材ですが、この桐材などの台をバーナーで黒くなるまで焼いていきます。結構、煙などもあがって、


「ありゃあ?燃えゆうがではないですろうか?」


下駄メーカーさんでの製造工場で拝見した時に、ちょっと見ただけでは、そんな風に思った事もありますが、竹虎でも竹垣用の焼板や園芸用の焼柱など製造する時にはまるで燃えているように煙が上がりますので実は大丈夫ながです。


八割下駄


さて、焼き上がって真っ黒くなった下駄の台ですが、これがどうやって、美しい焼き味のある木肌の色になるかと言うとまさに「焼き磨き」と呼ばれる通り、ハケ等つかって焼き目部分を磨いていくのです。自然素材が相手なので竹と同じく木も同じ温度の炎でも、こじゃんと焼けていたり、そうでもなかったり色々だから、高速回転するハケにあてがう職人さんも、一足、一足、調節しながらの手仕事となります。


只今、製造中の八割BLACKは、今までの八割下駄をご愛用のお客様のご意見、ご感想を参考に、何点かの改良を加えちょります。更に履きやすく、格好のエイ八割になったと思いよりますが、この下駄の桐材は藁縄磨きぞね。藁縄のゴツゴツとした、それでいて柔らかい素材感が新しい八割BLACKの台を男前に輝かせてくれるがです。


浅くなり、深くなる下駄

虎竹右近下駄


ちっくと履きすぎたかも知れんけんどまだまだ捨てるらあ、とんでもないがぜよ!確かに新品の虎竹右近下駄と比べたら、明らかにちびちゅうのは分かりますけんど、日本唯一の虎竹を贅沢に使うた匠の技が活きちゅう下駄。正直、仮に履くことがなくなったとしても一生捨てる言う事はないろうにゃあ。


実は、虎竹右近下駄は同じようになった下駄が3足ほどありますし虎竹男下駄も3~4足履き慣らしたものがあるがです。どれも、底はちびちょります。虎竹男下駄などは歯下駄やきに片ちびして左右で高さが微妙に違うたりしちゅうちや。けんど、綺麗に貼りつけられた竹が履くごとになんかエイ色合いになってきますきに、底が浅くなるにつれてますます愛着は深くなっていくがです。


風合いの増す虎竹下駄

虎竹下駄


自然素材のエイところは使えば使うほどに風合いが増してくるところぜよ。この虎竹右近下駄やあち、新品とはちっくと(少し)違うちゅうぞね。そうそう、新品の方が綺麗...いやいや、そうじゃ無くて、こうやって履いて使うた方が新品より虎の色つやがエイがやき。


実はこの虎竹下駄はお客様が、しばらくご愛用になられて底だけ張り替えて欲しいとの事でお預かりしちょった下駄ながです。張り替えが終わったところの写真やけんど本印伝の鼻緒は少々くたびれちょりますが虎模様は、よりクッキリして、こじゃんとエイぞね。こんな下駄があったら、これからの夏祭りや花火大会がますます楽しみにぜよ。竹ならではの足当たりも最高やし、たまにしか履かない下駄やきこそ、しかも足裏に隠れてしまう部分にこそ、こうやってキラリと光る逸品を使うちゅうががセンスやき。


虎竹下駄を修理しましたぞね

虎竹下駄


この虎竹下駄の色合いは、びっくと(少し)エイ感じになっちゅうと思いませんか?実は、この下駄はお客様がご愛用されよって底のゴムがすり減ったので修理させてもろうた下駄ながです。新品みたいになりましたけんど結構使い込まれちゅう下駄やきに、台の虎竹がなかなか風合いを増してきちょります。


底を綺麗に仕上げましたきに新品と並べて置いちょいて、どっちがエイですか?と、お客様に聞いてみたらこの使い込んだ風合いの方を選ぶ方が多いことないろうか?少なくともワシは、何が何でも修理した古い方やにゃあ。年期が入った色合いがエイもの!自然素材の優れたところはやっぱり使うほどに愛着と風合いが深くなる所かにゃあ。


同行二人

お遍路さん


同行二人と書いて「どうぎょうににん」と読むそうちや。四国八十八カ所めぐりのお遍路さんたちは、一人で歩きゆうがや無い。弘法大師も一緒に歩いてくれいうがや。ほやき、同行二人と書いた笠をかぶっちゅう、と、まだ明徳の学生やったころ、朝礼と同じように夕礼というががあって、その時に、恩師である吉田校長先生に教わったがです。


虎竹のふる里でもある。焼坂の山には昔からの遍路道が通っちゃあるきに、山仕事しゆう時には、そんなお遍路さんにお会いさせてもらうことがあるがです。「この山は竹がやたら多いねえ」遠くから初めて来られたお遍路さんも、日本唯一の虎竹の竹林をみて少々不思議がっちょります。


虎竹下駄


さて、さて、そんな虎竹が正確な正方形に切り出されて、こんな商品に生まれ変わりましたぞね~!こりゃあ、何ぜよ?お教えしますちや。これは、虎竹男下駄ようよう見たら穴が見えませんろうか?ここに鼻緒を通して下駄にするがやきに。足裏に虎竹を敷き詰めるち、なんゅう贅沢な下駄じゃおうか。足を入れた時のヒンヤリ感、カラン、コロン、歩くたびに足裏に感じる心地よさ。こじゃんとエイ浴衣を新調して、ハイカラな帽子でもかぶっちゅうがやったら、足元はコレぜよ、コレ。おまさんやったら、日本唯一の虎竹下駄がピッタリかも知れませんぜよ。


びっくと高い下駄

びっとヒール下駄


土佐弁で、ぴっと言うたら「少し」という意味ぜよ。ほんで、この下駄はヒールが少しだけ高いもんやきに。英語のBitと土佐弁とかけて、Bit(びっと)ヒール下駄と呼ぶことにしたちや。こじゃんと、りぐった(吟味した)国産の杉材を、昔ながらの製法で一足、一足手作りしゆう下駄メーカーさんが作りよります。


最近の若い人は足がすっと痛うなるきに、鼻緒も広いきにエイがやないろうか?楽しい縁日やら花火大会は可愛い浴衣でお出かけしてもらいたいけんど、足元もこじゃんとキメとうせや。そうじゃ、そうじゃ。ジーパンらあにも似合いますぞね。