竹皮草履に使う竹皮とは?

竹皮草履


竹皮は竹の皮だから竹林に行けばあるのだと思うけれど一体竹のどこの部分だろうか?身近に竹林があり、竹の暮らしがある自分達は当然と思っていても、都市部のお客様の中には「竹皮とは一体何なのか?」正確にご存じ無い方もおられます。


筍


実は竹皮は竹というよりも筍の皮なのです。筍の成長は驚異的で「雨後の筍」という言葉などもありますが、水分など条件が整えば1日に120センチ伸びるという記録もあるほどです。その成長過程で竹皮を次々に脱ぎながら伸びていく筍の皮こそ竹皮です。


竹皮ぞうり


まだ竹に付いている間は採ってはいけません、竹皮が剥がれ落ちたものだけを拾い集めて竹皮草履の材料とするのです。水気のある間はしなやかな竹皮は、天日干しして乾燥されると硬くなりますがそのまま2~3年倉庫で保管しておきます。竹皮草履を製造するときに水に戻せば元の柔らかな素材になるので、これも素晴らしい自然素材だと思いますが数年寝かした素材の方が編みやすいのです。


竹皮草履


鼻緒の履物が足の健康によいという事で藁や布草履などもありますが履いて感動するほどの気持ちよさは竹皮草履でないと感じることはできません。自宅で、仕事場で、何十足と履きつぶしながら一年通してずっと30年愛用続けていますが、つくづく凄い室内履きです。


国産竹皮草履の稲藁

竹皮草履製造


竹皮草履は夏場の履物のように思われていますが長年愛用される皆様ならご存知のように寒い季節になると自然な温もりがあって一年通してお使いいただける室内スリッパなのです。


竹皮草履鼻緒製造


国内では竹林の活用もほとんどされなくなっていますので当然の事ながら竹皮についても使われる事無くこれだけ素晴らしい素材であるにも関わらず竹林で朽ちているのが現状です。そんな中にあって、自分が竹虎に入社以来地元の竹皮を使った国産竹皮草履として少しづつ認知を高め、こうして沢山の方にお使いただけるようになってきたのは大きな喜びでもあります。


しかし、竹皮草履の材料集めも楽ではありません。下に剥がれ落ちた竹皮だけを使いますので連日竹林に入り竹皮を集めて干していく作業も実は大変な重労働です。


竹皮草履製造用の藁


さらに、竹皮だけでなく最近では藁の確保も大変になってきました。稲にも品種によって茎の長さに違いがあるのですが近年は大型台風が上陸するようになっていますので茎の短い品種である「短稈(たんかん)」に改良されています。稲作には良いことであろうかと思いますが竹皮草履づくりには出来るだけ長い稲藁が必要で、このあたりも思いがけず製造量に影響を与えているのです。


台風が大型になってきているのは地球の温暖化が原因ですし、虎竹の里の竹の色づきが良くないのも温暖化が大きな要因と考えられます。テレビや新聞で見聞きしても自分の事のように思えない地球規模の異変が、自然に近い仕事をしていると身近に感じられる事があります。




トントントン...竹皮草履用の稲藁を叩いてしなやかにしていく機械音が、急いだ時計の針の音のように自分を急かしているように聞こえてきました。


国産竹皮草履の職人、卓越した技

国産竹皮草履


竹虎の竹皮草履、スリッパには大きく別けて二つのタイプがあります。一つは竹皮編みの段階から鼻緒を付けたタイプ、もうひとつが竹皮ベルトスリッパや竹皮下駄の桐台の表となる鼻緒の付いていないタイプです。この鼻緒無しのタイプを「ダイガク」と呼びます。


元々、竹皮草履の製造は熟練の技を必要としており形の良い綺麗な草履ができるようになるには長い年月を必要とします。しかし、このダイガクを作れるようになるには更に技を極める必要があり、職人の中でもごく一部の限られた者しか製作する事ができません。


その理由は竹虎の竹皮草履は型押ししないという事が挙げられます。型押しすると多少の歪みなどは矯正できるので作りやすくはあるのですが、型押しする中で竹虎の竹皮草履特有の足入れした時の忘れられない心地良さが失われてしまうのです。


国産竹皮草履


だから、どうしてもプレスが必要な竹皮スリッパ、竹皮下駄の表についても軽く圧力をかけて竹編みの裏側の毛羽立ちを押さえ加工しやすくする程度に留めます。若干は竹編みの形の修正もできなくはないのですが、それが目的ではありませんし型抜きしたような竹皮編みは出来ませんし、又するつもりもないのです。


下駄の表にピッタリ合うように竹皮編みの長さ、幅、曲線部分を職人の手技だけで編込みしていきます。これが、まっこと真似のできない竹皮職人の技術なのです。


奇跡の復刻、天の恵み?最強の黒革雪駄

最強の黒革雪駄


黒革張りの雪駄は小さい頃には普通に店頭に並んでいた商品でしたが今では作る職人もいなくなり、それと同時に各部材を製造できる会社も無くなり残念ながら廃盤となってしまっていたものなのです。いちど出来なくなってしまった技の復活は、ほとんど不可能に近いものがありますが、そのパーツや道具なども同じです。何とか再販売したいと思いつつも黒革雪駄は、新しくリニューアルした形で製造できるようになるまでに数年の月日を費やすことになりました。


しかし、その廃盤のさらにずっと前の事。材料も手に入りづらくなって来て今後は製造できなくなるだろうからと最後の商品だと職人から一足の雪駄をいただきました。日頃から鼻緒の履き物を履く事も多く、黒革雪駄も自宅や仕事場、車内にも置いてますので個人的にも常に数足使っています。いつも愛用している事を知ってくれていたこの職人が最後の記念にと手渡してくれたのが今まで見た事もなかった迫力満点の雪駄だったのです。


最強の黒革雪駄


あれからずっと大事に保管し続けてあった雪駄は今では手に入らないタイヤ底。通常はつま先だけにしか縫いつけていない補強の黒革が雪駄の両サイドと更にカカト部分にも縫い込まれているまさに、最強の黒革雪駄とも言うべき一足ぜよ。


「最後の一足」と聞けば足を入れることもままならずいたのですが、今回黒革雪駄の復刻を契機にどうにかあの幻の雪駄を復刻させて履くことができないものか?たとえ数足でも世にだすことはできないものか?底材は新しく製造してもらったゴム底に変わりましたが、それ以外は合皮の鼻緒も当時そのまま、まったく同じに復刻したいと思ったのです。


出来あがって手にするまで信じられないような気持ちでしたが、本当にあの時の雪駄と同じ形で復活したのです。黒革雪駄でさえ復刻できたのが数年待った自分からしたら奇跡です。最強となると、まさに天の恵みのような心持ちぜよ。


国産竹皮草履の材料である竹皮をご存じですか?

国産竹皮草履


竹皮草履と一言でいいましても、もしかしたらハッキリと竹皮が竹の一体どこの部分なのか?分かっておられない方も少なからずおられるように感じることがあります。竹皮は正確には筍の皮とお話しする方が分かりやすいかもしれませんが、竹林で遊び場にしてきた田舎育ちの自分達からしたら、当たり前の事すぎて当然ご存じと思っている筍の成長のことなども、以外と知られていなかったりするのです。


孟宗竹、竹皮


竹の素晴らしさの一つには、その神秘的な成長力がありますぞね。木のように人が苗木を植えなくても毎年のように筍が生えてアッという間に大きくなり、わずか3年で製品利用が可能!こんな凄い自然素材は他にはありません。


孟宗竹という日本最大級の竹になると、その筍の立派さは圧巻です。地下茎が張り巡らされているとは言え、このような大きなものが地面からドンドン生えてくるとは、よくよく考えたらまっこと(本当に)不思議だとは思いませんろうか?


孟宗竹、竹皮


竹皮に包まれて伸びていく筍ですが、筍から竹になっていく過程で包まれていた竹皮はポロリポロリと剥がれ落ちていきます。一日に120センチも伸びることのある筍ですから数日たてば竹林の景色は全く違うものになっていたりします。


竹皮草履に使う竹皮はこの剥がれ落ちた竹皮だけを集めて乾燥させ、保管して使用しているのです。長く竹林にあると抗菌作用があって腐りにくい竹皮ではありますが、やはり傷みますので収穫の時期になると職人は毎日のように竹林に入り竹皮素材を集めるのです。


国産竹皮下駄


竹皮下駄の表に使われている竹皮編みも同じ筍の皮で製作します。下駄の場合には同じ長さ、幅、形の木型ですので、その形に合わせて手業だけで竹皮編みをせねばなりません。竹皮草履職人の中でも特に熟練した職人でなければ作るこのとできない一級品の技ながぜよ。


古い校舎と竹皮草履と竹抱き枕と

古い校舎床板


古い校舎に入ると何年にも渡って子供達が歩いた味のある板張りの床が出迎えてくれます。最近の校舎でも板張りの学校はありますが、木材の味わいが全く違うのは素材や塗装のせいでしょうか。


虎竹の里にある安和小学校も、このような古い板張りの温かな雰囲気に包まれた教室でした。けんど、まっこと(本当に)このような床をみていたら放課後に机を後ろにかためてブリキ製のバケツの水で洗ったモップで掃除をしていた小さい頃の事が蘇ってきます。


竹皮草履


父親の頃の時代までは、この板張り校舎での上履きは竹皮草履だったと言います。藁草履より丈夫で抗菌性もある竹皮は高価だってとも聞きますが、現在の日本の住宅はフローリングが一般的ですので室内履きとして皆様にご愛用いただけるようにもなっているのです。


竹皮ぞうり


竹皮草履は、絨毯敷きの室内でお履きの方もおられますし、たまに庭履きとしてお使いの方もおられます。もともと外で履かれていたものですので問題はありまんせんが、耐久性もよくありませんし地面が濡れていたりしますと水気が編み込みから浸みだしてきます。そこで、外用としてはEVAスポンジを貼ったタイプをオススメしちょります。


竹抱き枕、竹婦人


さて、この古い校舎は天井も素晴らしい板張りでしたので、下を見たり、上を見たり忙しいのですが、そうこうしています内に凄いモノを発見したのです。それがこの飴色に変色した古い竹の抱き枕ぜよ!竹表皮を薄く磨いた竹細工は、このように色合いが変わりやすく、長く使うほどに深みのある美しさに変化していきます。


ちょうど竹虎でも、今年の夏はこの磨きの竹抱き枕をご提案したいと思い準備しているところでした。製作したばかりは青々とした竹肌も、いずれはこのように渋い感じになっていく、そんな楽しさもある竹細工なのです。


ちょいワルおやじに履かせたい、あの黒革雪駄が帰って来た

ちょいワルおやじの黒革雪駄


あの雪駄が帰ってきちょります。あの雪駄と言ってもご存じない方も多いかも知れません。それも、そのはず製造がなかなか追いつかず、出来あがったと思ったらすぐに売れ切れていましたので多くの方にご紹介できる機会がなかった黒革雪駄なのです。元々製造数が少なかったものが、底材として使われていた自動車の古タイヤをスリッパ用として加工する業者さんの廃業でついに製造できなくなってしまっていました。


ちょいワルおやじの黒革雪駄


しかし、自分が自宅にも会社にも数足づつ置いて履き込むほど好きな雪駄です、前々からの根強いファンの方のご要望もありました、なのでずっと復刻できないかと方々を当たっていたのです。自動車のタイヤは昔と違ってタイヤの中に金属が使われるラジアルタイヤが主流となっています。このため以前と同じ古タイヤでの製造は見込めそうにありませんでした、正直諦めかけていた所にひょんな事がゴム底を製造してもらえる職人さんとの出会いがあってこうして復刻する事ができたがぜよ。


伝統の技術というのは、それぞれ細い一本の糸で繋がっています。どこかでその糸が切れてしまうと、元どおりに繋がることは本当に難しいものだ。この黒革雪駄からも、その事をつくづく感じているのです。


あの渋い雪駄、3年ぶりに帰ってきたのです。

黒革雪駄


本当に長い間お待たせして申し訳ありませんでした。3年ぶりです、遂にあの雪駄が帰ってきたのです。出来あがってしまえば何と言う事もありませんが、ここまでの道のりは長かった...。


手仕事の糸は、どこか一部分が切れてしまえば他が何とか繋がっていたとしても最終製品には辿りつけません。知っていたつもりでしたが、今回もイヤという程この事を思い知らされたのがリニューアルして名前も新たに登場したこの黒革雪駄です。


黒革雪駄


黒革雪駄の魅力は一針一針縫いつけて仕上げていく熟練の技。このステッチが、他にはないタフな表情と強靱た耐久性を産みだすのですが、この手縫いのために底材として使用する再生タイヤがなくなってしまった事が品切れの理由でした。


黒革雪駄


数ある雪駄の底材がある中、ずっとずっと昔ながらの古タイヤにこだわり続けていました。しかし、全国を探し回っているうちに思いがけない出会いがあり手縫いにふさわしい底材をゴムの状態から型を取り作っていくことになったのです。


堅さ、重さ、パターンを考えながら試行錯誤が続きます、コストは度外視していました。一番重要なのは、職人の手縫いの感触はどうか?そして、何より履き心地はどうか?


予想したより何倍も時間がかかってしまい雪駄の発売としては、もしかしたら季節外れかも知れない師走となりました。しかし、この雪駄の愛用者は自分も含めて夏だから、冬だからという事はないようにも考えています。沢山は製造できない少しづつ出来あがる黒革雪駄を、ジーンズに合わせて粋に履きこなしてもらいたいと思っています。


ちょいワル雪駄、蘇る職人技

ちょいワル雪駄


昨日の30年ブログ「竹虎四代目がゆく!」でご紹介させて頂きましたスーパーちょいワル雪駄は、特別中の特別な逸品で、今のところ製造の見通しは実はまったく出来ていない雪駄なのです。誠に申し訳ございません、しかし、ガッカリしないで下さい。3年間近く製造できなかった、ちょいワル雪駄は、その時間を取り戻すかのように急ピッチで年内販売に向けて走り出しています。


ちょいワル雪駄


白い雪駄表に太く黒い鼻緒が男らしく、普段履きとしてガンガンご愛用いただきたい一足です。昔のタイプは古タイヤを使用していて、その重量感、堅牢さが人気となってしましたが、新しく製造している物も雪駄底製造の職人さんに本当に何度も何度も無理を言って試作を繰り返し、何パターンものサンプル、素材を選びぬいてゼロから型を作りようやく完成した雪駄底です。


ちょいワル雪駄


黒革にクレモナという漁師さんが漁に使う白い丈夫な紐で一針、一針縫い込む職人技が蘇えります。是非、ご期待ください。


復活の日はあるか!?ちょいワル雪駄、そしてスーパーちょいワル雪駄

スーパーちょいワル雪駄


自分がいつも愛用している履き物のひとつに、ちょいワル雪駄があります。昔ながらの竹皮編みに黒い太めの鼻緒と黒い合革に白紐のステッチが効いた何とも格好の良い履き物です。ところが、その更に上を行くスーパーちょいワル雪駄と自分が呼ぶ前ツボ部分だけでなく両脇、踵部分まで合革を多用した特別な雪駄があるのです。


スーパーちょいワル雪駄


実は、ちょいワル雪駄は職人さんの都合や部材の廃盤などの理由でここ3年近くも製造できずにいます。ちょいワルの底材は古タイヤを利用していましたがタイヤの製造技術が上がりラジアルタイヤが一般的となり今まで草履底として流通していた古タイヤがなくなり職人さんが製造を中止しているのです。


ちょいワル雪駄底材


モノ作りは一本の細い糸のようなもの、それぞれの部材を供給してくださる職人さんで繋がり保たれてきました。どこか一カ所でも切れてしまうと最終的な製品は出来あがらなくなってしまいます。廃盤となりながらも、どうしても諦めきれず、誰よりも自分が一番履きたいと思って底材を探しを再び始めました。これで行けるかと思っても、厚み、重さ、底のパターンなど、あの古き良き、ちょいワル雪駄まで何とか近づきたいともがいています。


スーパーちょいワル雪駄


そして、その先にはこのスーパーちょいワル雪駄。職人さんが最後の一足だからと手渡してくれたもの、あれから何年経っても足を入れることができないでいる逸品です。