旅の相棒、虎竹パスポートケース

虎竹パスポートケース


とにかく田舎者なので海外に行くと目が回る(笑)。日頃なら考えられない事をしてしまう場合もある、ジャカルタのスカルノハッタ国際空港がそうだった。あまりの空港の広さに驚いた、乗り換える飛行機にどうやって行けば良いのか皆目分からない。一番最初に作ったプロトタイプの虎竹パスポートケースを手に迷ってしまい、締め忘れたジッパーからパスポートはじめチケットやら何やら全てをロビーに落としていた!


虎竹パスポートケース


自分でも、そんな事するのか?と今でも思うけれど、実際に落としていたのだから仕方ない。親切な現地の方に声を掛けてもらって紛失は免れたが、知らない土地では平常心を失ってしまう事があるのだなあと、しみじみと感じた。ちなみに、その後も親切な現地の方に出会ってシャトルバスに乗る事ができ、さらに親切な方に降りるターミナルで「ここだよ」と教えてもらい乗り継ぎの飛行機に間に合った。


虎竹パスポートケース


帰国してからパスポートケースは、ジッパーが開いていても中身が落ちないように革仕切りを工夫した。海外では大事な相棒、少し重くて硬い本体だが作務衣の内ポケットにスッポリ収まる虎竹を一生使うだろうと思っている。



忘れられたミカン籠(竹編み盛り籠)

鉄鉢竹籠


昭和の時代、家族の集まる居間には必ずと言っていいほどコタツがあって、その上には決まって竹編みの盛り籠があった。おじいさん、おばあさんから、お孫さんまでが揃ってミカンを剥きながらテレビを観ると言うのが冬の定番だったからミカン籠とも呼ばれたりしていたが、「ミカン籠って何ですか?」と声が上がる。


竹職人


果樹園を経営する友人が、当時と比べて今や柑橘類をはじめとした果物の消費量は半分になっていると話す。なるほど、コタツは無くなる、テレビは無くなりスマホでそれぞれが部屋で楽しむ、そして果物は食べないとなれば、ミカンを入れる盛り籠は知らなくて当然かも知れない。


ミカン籠


しかし、そんな時代の流れの中でも細々ながらも生き続けている、かつてのミカン籠の代表選手のような鉄鉢籠。修行僧が托鉢の時に用い鉄の容器に形が似ているから名付けられた竹籠で、当時は何種類もサイズがあり沢山編まれていた中から、今では一番手頃な大きさを作っている。


虎竹盛り籠


先日、たまたま手の平サイズの小振りな竹籠の別注があって、職人が久しぶりだと楽しそうに編み出した。実は籠は小さいものが手間がかかり難しいが、ちょっとした小物入れに最適なカワイイ虎竹鉄鉢が完成した。





地震に負けるな、いよいよ来週開催!2024世界竹会議台湾(World Bamboo Congress in Taiwan)

世界竹大使、World Bamboo Ambassador


いよいよ台湾で開催される世界竹会議が来週に迫ってきた。実は台湾の竹工芸や竹の活用は、日本などよりも先進的で非常に面白い。もう10年前になるけれど、新しい竹を生み出す源泉をどうしても知りたくなって主だった工房を回り、職人さんにお会いさせていただいた事がある。


そもそも何より竹と人の暮らしが、まだまだ色濃く残っていて、ワクワクするような空気感が漂っていた。そんな台湾で開催される第12回目の世界竹会議、一体どんな新しい竹と人に出会えるのか今から楽しみで仕方ない。一応、ボクは日本に二人だけの世界竹大使(World Bamboo Ambassador)となっているので出来るだけの事はしなければならないと思っている。


世界竹会議台湾(World Bamboo Congress in Taiwan)


そこで、少しでも会議が盛り上がり台湾国内外の耳目が集まればと、虎竹電気自動車「竹トラッカー」が登場するのである。ちょうど本日、予定どおり台北の港に到着するとの連絡をいただいて安心したところだ。今回は輸送についても、これほど手間と時間がかかってしまったけれど、それに似合うだけの成果を期待している。


世界竹会議台湾(World Bamboo Congress in Taiwan)竹トラッカー走行コース


新竹市の国立陽明交通大学(National Yang Ming Chiao Tung University)にご用意いただいたのは、全長2キロの特設コース。リチウムバッテリーも新品に載せ替えているし余裕で何周でも走る事ができる。竹の明日に向かって走りたい。





蓬莱竹、復活した地域の守り神

蓬莱竹、水防竹林


春雨で水かさも少しましている土手では「あの蓬莱竹」が新しい枝を伸ばしてイキイキと復活しつつあった。「あの蓬莱竹」とは、虎竹の里の隣町にある鰹の一本釣りでも有名な漁師町久礼を流れる川岸にある大きな株の事だ。いつだったか根元から綺麗サッパリ伐採されてしまっており、ビックリして思わず動画を撮った蓬莱竹なのだ。




YouTube動画をご覧いただきますと、今は川の流れに沈んでいる根元部分が、いかに巨大で川岸をしっかりと堅固に守っているかがお分かりいただけると思う。竹は、このように竹細工として生活用品として、仕事道具として人の役に立つだけでなく、防災機能としても大きな役割を果たしてきた。


防災用竹林


川の流れに沿って五三竹の竹林が続いている。大水が出た時には、手前の田畑を守るためにずっと働いてきた竹たちだ。平常時は、もちろん竹細工や箒の柄などとしても適時伐採され使わる事によって、手入れ管理されてきた地域の竹林だ。


護岸竹


普通の方は、あまり意識していないけれど、川岸にポツリとある竹林に見覚えはないだろうか?大きく川が蛇行するポイントや、流れが合流する場所に竹が植えられている事も多い。


水害防備竹林


川下の向こう側にあるのが蓬莱竹。株立で横に根を張らず広がっていくことがないので高知や九州など温かく雨の多い地域では、一番よく見られる竹のひとつだ。この竹は節間が広く、柔軟性に富んだ竹質で古老の職人ほど好んで使う。近年、若い職人が使わないのは、この竹材を知らない事と、竹細工と地域の暮らしの距離が離れてしまったせいである。



土用干し、干し野菜づくりに安心・安全な国産竹ざるなら、レアな四ツ目編竹ざるもあります

国産竹ざる、竹虎四代目(山岸義浩)


竹細工の代表のひとつである竹ざる。あまり身近でない方でも、ホームセンターや荒物屋で気軽に手にできる価格で並べられているのを、ご覧になられた事はあるのではないだろうか。そんな輸入の竹製品と思いつつも、短い期間と割り切ってお求めいただくのは悪くないかも知れない。が、しかし、やはり土用干しに使用したり干し野菜作りに利用されるのなら、安心できる国産のしっかりしたモノをお選びいただきたいと思う。


国産四ツ目編竹ざる


特に今年はできるだけ沢山製造しようと考えている四ツ目編の竹ざるがイチオシだ。日本国内はもちろんだけれど、海外で編まれるものでも、この通気性抜群の四ツ目編はあまり見かけない。


日本製四ツ目編竹ざる


目の詰んだ網代編みの竹ざる同様に、四ツ目編にも60センチタイプと40センタタイプの2種類のサイズがある。お使いの用途に合わせてお選びください。





台湾国際竹工芸フォーラムにて講演します

国際竹工芸フォーラム、竹虎四代目(山岸義浩)


台湾の台中繊維博物館で開催される国際竹工芸フォーラムにて講演させていただく事になった。実は昨年5月にも、台湾宜蘭県で開催されたアジア太平洋ソーシャルイノベーションサミット2023で登壇させてもらったが、その時には地域資源としての虎竹や日本の竹文化を中心にお話しした。今回のフォーラムに参加される皆様は、竹工芸や竹の仕事に携わる方も多いとの事なので、先進的な竹に取り組まれている台湾の竹人にお会いできると楽しみにしている。


以前から交流のある盛志華台湾竹美術館々長の徐氏、台湾竹工芸の竹彫り師である施氏のお二人と共に国際竹工芸フォーラムを盛り上げます。申し込みフォームは、繊維博物館や国立聯合大学にもあるそうだが、竹に興味のある方なら、どちら様でも参加できるようなので是非お越しいただきたい。


お申込みこちらから→國際竹工藝論壇


竹は伝統的に日本文化に深く根付いており、言語や生活習慣など日本人の暮らしや心情に深く関わり、様々な形で日本人の生活に欠かせない植物だ。ところが近年、長きに渡って寄り添い合ってきた竹を現代の日本人は忘れているように思う。講演では、日本文化はもちろん、アジア圏での竹と人との深い関係を考えながら、知られていない竹の素晴らしさ、そしてこれからの竹活用についてスポットライトを当てたい。


ディスカッション
■徐暋盛 竹織り職人 - 盛志華台湾竹美術館館長
2015年 第3回世界籐織物芸術祭~サードプレイス~夢の世界~
2023年 第5回世界籐織物芸術祭 準優勝

■施惠閔 竹彫り師
2020年 台湾クラフトコンペティション 新光三越特別賞
2023年 ウズベキスタン第2回国際手工芸フェスティバル 伝統手工芸技術継承賞

開催日:2024/4/22(月)
開催時間:午後1時30分~3時30分 国際職人フォーラム
イベント場所:台中繊維博物館

指導単位:教育省
主催:国立統一大学研究開発室イノベーションインキュベーションセンター、デザイン学部アボリジニ学士号プログラム
共催:台中市文化局、台湾竹工芸協会




このYouTube動画は、2023年5月に台湾宜蘭県で開催されたアジア太平洋ソーシャルイノベーションサミットで登壇させて頂いた時の様子です。



スズ竹市場籠の三色変化

スズ竹市場籠の経年変色


昨日に続いて竹手提げ籠の話題をお話ししたいと思う。
さて、問題です(笑)こうして3つの竹手提げ籠が並んでいますが、スズ竹で編まれたものはどれでしょうか?


チッチッチッチッチッ......チンッ!


そう、ご名答!すべて同じスズ竹で編まれた市場籠です。


スズ竹市場籠の経年変色


それでは2問目(笑)、同じスズ竹で編まれたものなのに色が違うのはなぜ?


チッチッチッチッチッ......チンッ!


またまた正解!時間の経過と共に自然と色合いが変化していくのです。


スズ竹市場籠の経年変色


最後の3問目(笑)、それでは一番古い籠はどれでしょうか?


チッチッチッチッチッ......チンッ!


大当たり!一番上に積まれている飴色になった渋い色合いの市場籠です。


今回の問題は、この30年ブログ「竹虎四代目がゆく!」をご購読いただいている皆様にとったら簡単な問題だったかも。けれど、このように青々とした若い色合いの竹籠が、時を経てこんなになるのだから、まさに自分で籠を育てると言う感覚がピッタリだ。





修理して何度でも蘇る竹手提げ籠

スズ竹市場籠革補強


買い物に持ち歩く手提げ籠で一番傷みやすいのは、持ち手部分と底の四隅の角部分だ。このスズ竹市場籠のように、厚い黒革で角を補強しているものは近年では少なくなったが、衣装類や生活道具を入れて使われていたスズ竹行李などには同じように四隅の角を覆ったものを良く見かけていた。


虎竹楕円買い物籠


竹細工の良さのひとつは、たとえ使っている中で傷んでしまっても、竹の加工性が高さで修理した事が見た目に分からないくらい、ほとんど同じように手直しできる事だ。


磨き手提げ籠バッグ


プラスチック製品には真似のでない自然素材ならではの利点を、一人でも多くの方に知ってもらいたいと思って声を上げている。そうすると少しづつ全国の皆様から修理依頼を頂けるようになってきた。やはり一番多いのは、持ち歩いて重たい荷物を出し入れする事の多い竹手提げ籠である。


古い魚籠


持ち手、底の四隅の次に傷むのは口部分。農家さんの納屋にあった、こちらの古い魚籠も口巻きが切れてしまったらしい。修理してお使い頂いていた様子が伺えるけど、残念なのはポリプロピレンのPPバンドを使っている事だ。


修理したスズ竹市場籠


使い込んだスズ竹市場籠の底の四隅に、小さな穴が開いたので補修させてもらったが事がある。横からは分かりづらいが、その辺りをよくよく注視して頂くと、色目の異なる竹ヒゴが入っているのにお気づきではないだろうか?少し青く見えるのが新しく差し込んだスズ竹ヒゴだ。やはり、本物の竹籠には本物の素材で修理するのが一番、今は、このように若干の違和感がある竹籠が、数年経つとしっかり色合いも馴染んでくるから竹を好きにならずにいらいれない。





よさこい祭りの地方車を虎竹で製作する!竹虎創業130周年コラボ企画

よさこい祭りの地方車を虎竹で製作


竹虎は皆様のお陰で創業130年の節目の年、そして、一昨日の4月1日は竹虎の第74期のスタートの日だった。実は月に一度、全員が一堂に会する全社会議を開催しているが、そこで遂に正式発表したのが「よさこい祭りの地方車を虎竹で製作するコラボ企画」だ!4月1日だけにエイプリルフールとも思われそうだが、さすがは竹虎社員の皆さん。竹虎四代目が前に立って話すことは、いくら荒唐無稽のようであっても真剣だと知っている。


だから担当する職人達は、一番後ろの席で一斉に下を向いた。全くどうしていいのか自信もアイデアも何もないのだ。けれど、安心してもらいたい!全然自信なくて、どうすれば良いか皆目見当もついていないのはボクも同じ(笑)。


REIWA-125号車体


しかし思い出しもらいたい、岡山科学技術専門学校さんから譲って頂いた、車輪の付いた車体骨組みを初めて見た時の事を。


竹虎四代目坂道レース練習


練習する坂道で転んでばかりいて、笑われていた竹虎四代目を。


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付き合わされて軽四トラックで、車体を坂の上まで引っ張り上げている時、あのスペイン・ハラパの大歓声が聞こえたか?




竹虎創業125周年記念!REIWA-125号と虎竹アーマーで挑むスペイン・ボックスカートレース、大興奮のスタートからゴールまで


東京Red Bull Box Cart Race


東京よみうりランドで競ったRed Bull Box Cart Raceにて、全国から集まった強豪の中で準優勝するなどと想像できたか?




準優勝!レッドブル・ボックスカート・レース 2019(RedBull boxcart race)よみうりランド特設会場


よさこい祭りの地方車を虎竹で製作


もともと大阪天王寺で創業した竹虎は、戦後は虎竹の里に本社を移して須崎でしか成育しない虎竹で、今日まで仕事を続けてこさせてもらった。だからこそ、地元唯一のよさこいチーム「すさき~真実(まっこと)」さんとのコラボ企画の意味は大きい。南国土佐の夏は暑いけれど、今年は更に熱くなりそうだ。



阿波踊り竹人形の臨場感あふれる乱舞

阿波踊り竹人形


分かる人にだけ分かればいい。今時こんな竹人形なんて、どこに置いとくの?家の中に飾る所なんてないよ、そんな声が聞こえてきそうだ。でもね、ボクは確信している。受け取られたお客様が丁寧に包まれた梱包を解く、眺める、LEDライトを点ける、そしたら必ず蘇る。幼い日、友達や地元の人たちと一緒に楽しく舞った阿波踊り。故郷から遠く離れたご自宅で、この竹人形ご覧になられて涙されるに違いない。


阿波踊り竹人形


竹人形の伝統を受け継いで仕事をされている職人の技はもちろんだけれど、とにかくこの竹人形を創り出した方は天才だと思う。人形には五三竹という竹が使われる、竹虎では遍路杖などに加工する布袋竹とも呼ばれる竹だ。


布袋竹


水戸黄門さんの持つ杖と言えば分かりやすいかも知れない、布袋様のお腹のような膨らみがあって握りやすく、乾燥するほどに堅くなるので杖には最適なのだ。河川の護岸用の竹材として、地域を守る役割も果たしてきた五三竹の細い小枝を巧みに使って男踊り、女踊りを表現されている。


阿波踊り竹人形


阿波踊り竹人形LED


いや、見れば見る程ため息がでるような竹の技。どれだけの竹と踊り子への想いがあれば、このような躍動感のある細工が生み出せるのか。まさに竹に命を吹き込むとはこのような事だろう。どうです?竹って凄いでしょ。