虎竹買い物籠で、あなたもサザエさん?

虎竹買い物籠


「サザエさん」の漫画連載が始まったのは昭和21年(1946年)で、テレビ放映がスタートしたのは昭和44年だそうだ。今でも続いている国民的な番組の中で、主人公のサザエさんは買い物に行く時には手提げ籠を使っている。若い皆様も違和感なくご覧いただいてるけれど、昭和のお母さん方はスーパーに出かける場合は必ず買い物籠を手にしていた。少し年配の職人に聞くと、近所の魚屋には竹ザルを持参していて、そこにアジやサンマを載せてもらっていた時代だから、持ち手付で深さのある籠は必需品だったのだ。


虎竹買い物かご(だ円)


そんな昭和の手提げ買い物籠が、70数年という時を経て少しづつ見直されている。すっかり忘れ去られていた手提げ籠文化だったが、環境意識の高まりで数年前から購入時のビニール袋有料化でマイバックが浸透し、一部の方には竹編みの籠が雰囲気と実用性から支持されている。


虎竹買い物籠


この懐かしい昭和のお母さん愛用、虎竹買い物かご(だ円)は、物の出し入れが便利なように口部分を広く、安定した持ったり置いたりできるように少し低めの定番の形だ。毎日、普段使いのできる丈夫な竹籠がどのように編まれてるのか?54分を越える長いYouTube動画で、じっくりご覧いただけるようにしました。





スズ竹市場籠を手にする社員

スズ竹市場籠、竹虎社員


高知のような田舎で生まれて、自然を身近に感じながら育った皆さんでさえ、竹の事となると実は全く知らなかったりする。ご縁があって竹虎の社員となり、ここで初めて竹に触れ、竹を知り、親しみを感じながら働く内にいつの間にか愛用者となる。今日、手にしているのは、まるでお揃いのようにして使っているスズ竹市場籠だ。車通勤にせよ、近くから徒歩でやって来るにせよ、こうして竹の手提げ籠バッグを持って来てくれるのは、やはり嬉しい。




しかし、竹のヘビーユーザーになっていくのは何も竹虎だからというワケではない。元々、日本人のDNAに竹が刻み込まれているからなのだ、日本の皆様は竹を知らないのではなく、竹を忘れているだけなのだ。現在、120年ぶりと言う開花があって、スズ竹は少なくなっているけれど、また緑の竹林が蘇る日がきっと来る。


虎竹買い物籠


昭和のお母さん方が、毎日のお買い物に提げていったような光景は戻らないかも知れないけれど、同じ形で復刻した虎竹買い物籠も、いづれもっともっと見直される日がくるに違いない。なぜって、自分がこれだけ愛用して、楽しく本当に使いやすいと実感しているからだ。





ポストマンの山葡萄バッグ

古い山葡萄のバッグ


郵政省は、昭和24年(1949)に逓信省を改編して設置されたそうだから、この山葡萄のバッグはもしかしたら、まだ逓信省と呼ばれていた頃に使われていた物かも知れない。それくらい昔の郵便配達員の方が使われていたと言う山葡萄が残されている。封筒やハガキなどは、今以上に大切な通信手段であり、配達員の皆さんにとっては連日大変なお仕事だったのではないかと思う。責任の重い激務の中で使う鞄は、それこそ丈夫さが何より求められていただろう。


山葡萄鞄


山葡萄の手提げ籠バッグは、今では海外で沢山製造される程人気となり、様々な技巧を競うような籠も多々見かけられるようになった。しかし、元々は東北の農作業や山仕事用として編まれた生活道具だ。その堅牢さは、竹をはるかに凌ぐほどだが、更にこのバッグには分厚い板の補強が入れられているから驚く。


古山葡萄バッグ


このリベット留めはどうだろうか?強靭な山葡萄に金属を使うなど初めて見た。ギッシリと詰め込んだ郵便物を、肩に掛けた紐を食い込ませながら走っていく様子が凄い迫力で伝わってきた。


山葡萄カバン


まさに黒革のような色艶、質感、見た目どおり触った感触も、堅牢な革そのもののようだ。こんな山葡萄を見せられると、自分が20年や30年愛用している山葡萄手提げ籠やセカンドバッグなど、まだまだヒヨッコだと思うのだ。



国産山葡萄手提げ籠バッグの修理

山葡萄手提げ籠バッグ


山葡萄手提げ籠バッグはシンプルな網代編みがいい。ボクが昔から愛用している物は、馴染の職人さんから頂いたり、母から譲られたもの、あるいは元々は東北の農家さんで背負い籠として使われていた籠なので、多くは定番の網代編みだ。もしよかったら、下でご紹介している動画「黒光り!数十年使う山葡萄細工、手提げ籠バッグの魅力」をご覧ください。




先日は、山葡萄といえば夏しか持てないのでしょう?とお客様からご質問いただいた。確かに竹細工でも、以前は白竹で編んだ手提げ籠を冬に使うのは違和感があるようにも思えたが、そのような感覚も随分前になくなった。今は一年通して皆様にご愛用いただいている、同じように山葡萄手提げ籠バッグも季節を問わずオールシーズンだ。まあ、兎に角使い込んでシブイ風合いになった籠は手放せなくなるから、使えば分かる(笑)。


山葡萄手提げ籠バッグ


海外の生産の山葡萄が増えてから、技巧にはしる編み方の籠が増えたが、やはりこうして見ても定番の籠が好きだ。先日は、修理のご依頼を頂いて艶の良くなった籠をお預かりした。編み上がったばかりの少し武骨な表皮が、滑らかに艶やかになりつつある素晴らしい籠だった。





真竹磨き丸底手提げ籠が6個できました

竹磨き手提げ籠バッグ


磨きの竹細工の経年変色は本当に見事だ。YouTube特別販売でご紹介するこの籠は、自分が昔から愛用している真竹磨き丸底手提げ籠と同じ形。使い込んでいるうちに、色合いが飴色を通り越して赤茶けた感じになっていて、渋さ満点になっている。


真竹磨き丸底手提げ籠


現在、限定で6個だけ編み上がってきた籠の色合いはこんな感じ。一番前に写っている赤茶けた手提げ籠と見比べると、ご存知ない方がご覧になられたら本当に同じ竹籠か?もしかしたら着色されているのかと思うかも知れない。


真竹米研ぎざる


ところが、編み上がったばかりの磨きの細工はさらに瑞々しくこのように青い。職人が一心不乱に編んでいる工房に足を踏み入れると、むせるほどの青竹の香りがすることすらある。





レアなスズ竹手提げ籠バッグの修理完成

スズ竹手提げ籠バッグ修理


お客様からスズ竹手提げ籠バッグの修理依頼を頂いた。スズ竹は、竹と名前が付いているものの細く背丈も低い笹の仲間だが、しなりがあり非常に耐久性の高い素材だ。だから、このように大きな穴が開いてしまうのは珍しく、今回は底の四隅を補強していた籐が傷んでしまったようだ。


スズ竹手提げ籠バッグ


120年ぶりと言われるスズ竹の花の開花があって、もともと手に入りにくいスズ竹の素材は竹虎には無いので色目の似た真竹を代用して下地を作り籐かがりをしたら、この通り!


スズ竹手提げ底編み


底部分も竹ヒゴが折れてしまって小さな穴になる程だったけれど、同じように色目とヒゴ幅をあわせた真竹で補修場署が分からないくらいに手直しできている。


スズ竹手提げ籐持ち手


実は籐持ち手も全てやり直さねばならない程傷んでいた。持ち手の芯は何とか使えるが、その他は全て巻き直しだったから、少しハードにお使いいただいているのかも知れない。


スズ竹手提げ籠バッグ修理完成


こうして修理が完成した竹籠を見ていると、まるで見違えたようだ。この手提げ籠は、スズ竹市場籠などより細く繊細な竹ヒゴを使った、ソフトな滑らかさと見た目が美しいワンランク上の手提げだ。普通の籠より3~4倍の手間がかかる逸品なので、こうして蘇った籠をこれから何十年とご愛用いただき風合いを益々深めていただきたいと思っています。




スズ竹市場籠と言えばビニールパイプ持ち手のこの形。定番の籠は、このようにして編まれています。



本当は自分用だった白竹一本手提げ買い物籠

白竹手提げ籠バッグ、竹虎四代目(山岸義浩)


とても良くできた竹手提げ籠バッグだ。竹のあしらいが丁寧だから、遠くから見ても腕前の確かさが伝わってきた。手にした持ち手の太さもしっかりしていて握りやすい、籠の容量にしては丈夫すぎるくらいの底に入れた力竹も格好がいい。大小の二つのサイズを使い分けしながら自分が愛用するつもりだった。


白竹一本持ち手買い物籠


いずれ長く使っていれば、前から持っている一本持ち手の手提げ買い物籠のような色合いになっていく。竹の楽しみ方は、こうして息が長いものなのだ。そもそも荷物を入れて持ち運ぶ籠だから、傷んでしまう事もあるけれどその都度手直ししながら日本人は竹と付き合ってきた。


竹手提げ籠


先日もお客様にご依頼いただいた修理の手提げ籠をお届けさせてもらった。随分と前の籠で今では開花で少なくなったスズ竹を、市場籠の竹ヒゴよりずっと繊細にして編み込んだお洒落バッグだったが、本当に喜んでいただけて自分達の方が感謝の気持ちでいっぱいになった。


白竹買い物籠


そんな事を考えていて、置ききれないほど沢山あるマイバッグの仲間入れしてもらうより、毎日のようにご使用いただける方にお譲りした方が籠にとっても幸せかも知れないと思った。そこで、いつものようにYouTube特別販売を用意して、それぞれ一点限りで近日ご紹介予定です。何卒よろしくお願いいたします。





魅惑のトライアングル青竹手提げ籠に籐持ち手

真竹三角持ち手買い物かご


ちょっとしたお買い物に一番多用しているのが真竹三角革持ち手買い物かごだ。竹編みの手提げ籠は、ざっと見渡すだけでも30個近くはあるだろうか、車の中にも常に2~3個置いてあって色々と使っているけれど、やはりついつい手が伸びる籠というのがある。白竹八ツ目角籠バックは、堅牢な作りで気を使わない所がいいし、持ち手に巻いた籐の感触も大好きだ。現在竹の花が咲いてしまって材料不足から製造が進まないスズ竹市場籠などは軽くて腰当たりが使いやすくて良いい。


真竹三角持ち手買い物かご


ところが、この真竹三角革持ち手買い物かごが出来てからはコレばかりになってしまった。そもそもスーパーに買い物に行くにしても、ガッツリと食材を入れる訳でもないのでサイズ感が合っている事も大きい。きっと同じような方もおられるだろうと思って、新しく10個製作する事にしたのだが、試しに一つはスズ竹市場籠のパイプ持ち手のように紐を通してみた。自分は持ち手を籐で巻いたタイプを昔から使っているので、同じように藤巻きにしてみる。


真竹三角持ち手買い物かご


やっぱり革持ち手の方がシックリくるように思うので、後の籠は革の職人さんにお願いすることにした。試作で製作してみた籐持ち手、きっとお気に召される方もおられるはず(笑)そこで、いつものようにYouTube特別販売でご紹介してみます。個性派な逆三角形の竹かごバッグは、トライアングルバッグとも呼ばれているとか、いないとか。とにかく、お出かけを楽しくしてくれるのは間違いないオシャレな相棒なのだ。



飴色に輝く四ツ目手提げ籠バッグ

四ツ目手提げ籠バッグ


真っ白だった竹肌が、このような飴色に変わっているのだから随分と前に作られた物だと分かる。しかも、この艶からすると竹材は火抜きに違いない。白竹の油抜きには熱湯と使う湿式と、火を使う乾式があって経年変色が全く違う。


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それにしても秀逸な手提げ籠だ、今まで見てきたどの四ツ目編み手提げ籠よりも存在感がある。


四ツ目手提げ籠バッグ


竹ヒゴのあしらいに熟練の技を感じる、竹の節が効いている。


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こんな迫力とセンスのある籠を作る方は一人しかいない、ついついこの感動を皆様にも味わって頂きたく画像を何枚もアップしてしまった(笑)。


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カズラの使い方も素晴らしい。


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竹製オーバーナイター同様に力竹の籐がポイントになっている。



虎竹で編まれた角手提げ籠バッグ新登場

虎竹角手提げ籠バッグ


今までなかったのが不思議なのだが、遂に登場したのが虎竹角手提げ籠バッグだ。このような四角い形の竹細工を角物と呼ぶ、他のゴザ目編みや、六ツ目編み、網代編みのザルや籠と違って、長い竹ひごを使わない代わりに細かいパーツが沢山あって製作は大変だ。




虎竹のピクニックバスケット製作の動画をご覧いただくと、その部材の多さに驚かれるかと思う。


白竹角手提げ籠バッグ


白竹は、元々このような白い竹があるのではなくて、青々とした真竹を湯抜き加工といって熱湯に浸けて余分な油成分を取り去った後に天日干しすると、このような美しい白さになる。


虎竹角手提げ籠バッグ


虎竹は火抜きと言ってガスバーナーの熱で油抜きしていく。同じ加工をするのだけれど、真竹と虎竹ではこのように色合いが異なり、同じ手提げ籠にしてもこの通りの違いなのである。


虎竹角手提げ籠バッグ


安定して自立する竹籠なので、持ち手を倒したらマガジンラックや小物入れなどにも便利にお使いいただけそうだ。