梅雨明けしたのに、虎竹八ツ目編み傘立て

虎竹八ツ目編み傘立て


虎竹フロアライト(丸筒)をお求め頂いたお客様から、アイデアを頂戴して製作した虎竹八ツ目傘立てがある。ちょうど梅雨時だったのだが、思ったよりも良いものが出来あがり喜んでいただけたと思っている。そう言えば、以前は何種類かの傘立ても虎竹で作っていたのに、どうして近年はなくなってしまっていたのだろうか?そんな事を思い起こさせてくれる契機ともなった。


虎竹フロアライト(丸筒)


海外からの観光の方も増えてきて、ホテルや飲食店も以前のような活気を取り戻している。どちらかと言えば大きなサイズで、店舗様向けの虎竹傘立てばかりだったので、ここ数年はご紹介するチャンスもなかったのだ。けれど、この竹灯りのようなホッとする和のデザインが玄関先にあれば素晴らしい。


虎竹八ツ目編み傘立て


直径が約30センチ、高さは52センチという大型の虎竹傘立ての試作が編み上がってきた。黒のツヤ消しで塗装した金属製の筒を入れると、白竹だったらもっと編み目が際立つだろうが、虎竹の場合はシックな感じで渋い。梅雨が明けた青空の下では、もしかしたら出番がないのかも知れないと思いつつ、来期を目指しています。





白竹の竹玉(たかだま)ペンダントライト

白竹玉照明


いつもの竹職人の仕事場に入る土間に、無造作に転がっていたのは白竹で編まれた竹玉(たかだま)だ。最近、球形の竹編みはペンダントライトや飾りとして大小色々なところで見かける事もあるけれど、この竹玉は他とちょっと違う。美しい白竹を厳選しているだけでなく、竹のヒゴ幅を違えてセンスよく作られている。聞けば、このバランスに仕上げるのにかなり苦労されたようだ。


白竹玉灯り


それもそのはずで、実は職人本人が元々照明に使う竹傘を専門とされていたのだ。昔の日本の住宅には、普通に竹照明が使われていて大手電機メーカーのカタログにも国産竹細工が掲載されていた。多い時には4~5人の職人と共に分業体制を取って数百という竹灯りの注文をこなしてやって来られた方なので、室内を照らす竹玉には思い入れが人一倍なのだ。


白竹玉ペンダントライト


竹虎でも虎竹を使った竹玉灯りを何度か製作した事があるけれど、これほどの完成度のあるものではなかった。この白竹玉に灯りが入るとどんなんだろうか?前々から見たいと思っていたところ、ちょうど秋に拝見できるチャンスがありそうなので喜んでいる。地元で有名な格式のあるホテルの数室にだけ使われているそうなので、いずれ皆様にもご覧いただきたい。





別注虎竹傘立てと虎竹の灯り

虎竹フロアライト、虎竹八ツ目編み傘立て


別注で製作させて頂いた虎竹傘立てのモデルとなったのは虎竹フロアライト(丸筒)だった。竹虎の竹照明の大きな自慢のひとつは、土佐虎斑竹と土佐和紙という高知に昔からある地元の秀逸な素材を組み合わせて製作している事だ。


虎竹フロアライト


どちらも土佐の雄大な自然、面積の内84%が森林という山の国が育んだ素材だから意味がある。そして、さらにその土地で熟成された人の技が加わるから、多くの方を魅了する灯りが生まれるのだと思う。


竹灯り


これが、その優しい灯り。竹と和紙のフロアライトなど、若い方で初めてご覧になられる事があるかも知れないが、おそらく懐かしさを感じているのではないだろうか。心安らぐあたたかい気持ちになっているのではないだろうか。


虎竹照明


竹のしなやかさを活かして先人から繋いできた竹灯りには色々な種類があって、フロアライトだけでなくスタンドライトやペンダントライトもご用意している。心地良い竹割の音から始まる職人の手業もYouTube動画でご紹介しているので、一度ご覧ください。





別注で製作した虎竹傘立て

虎竹フロアライト(丸筒)


竹と和紙は本当に相性が良い、ほのかな灯りに竹編みのラインが浮かび上がる虎竹フロアライト(丸筒)があるだけで部屋が和む。蚊取り線香の煙がゆらぐ、ヒンヤリとした板の間に腰をおろして涼む夕暮れには団扇が似合う。


八ツ目編み


ゆったりとした時間を演出してくれる竹灯りは八ツ目編み。以前にはヤタラ編みの傘立てがあったけれど、今回はこの編み込みで雨の季節にふさわしい傘立てが作れないだろうかとお問合せをいただいた。


竹虎四代目(山岸義浩)、虎竹傘立て


そう言えば、どうして今まで傘立てを忘れていたのだろうか?だからお客様のお声は有難い(笑)。


虎竹フロアライト(丸筒)、竹虎四代目(山岸義浩)


竹の光にうっとりすると同じように、玄関先で訪問いただく方々を魅了する事もできるはずだ。


虎竹フロアライト(丸筒)、虎竹傘立て


こうして見ていると傘立ての内側に入れている金属筒の色合いが少し気になってきた、艶消しの黒で塗装してみようかと思っている。





虎竹の短冊掛けとは?

虎竹短冊掛け


自分達には馴染のある竹細工のひとつなのたが、「短冊掛け」と聞かされても恐らく今の若い方々には全くピンとこないだろうと思う。やはり、このような竹製品も花嫁修業と言う言葉があった時代に、茶道、華道を習う女性の方が多く、和風建築が一般的なだった頃の名残の一つだ。


虎竹短冊掛け


どのように使うのかも分からないかも知れないが、細長い短冊を上下にしつらえたカズラの押さえ部分に挟むようにして固定する。


虎竹短冊掛け


虎竹の模様は自然そのままなので、虎柄の多いものもあれば、少ない竹もある。それぞれの竹を均一に無駄失く使用するために染めて使う事も多かった。


虎竹短冊掛け


このようなカズラも専門の職人さんがいて、季節になると軽四トラックに山積みされて運ばれてきたものだ。


虎竹短冊掛け


丸型だけでなく、楕円形の短冊掛けもあったし、色紙掛けもあって編み方や素材違いなどバリエーションも多々あった。大量に製造されていた頃を、懐かしい竹細工を見て思い出している。



ススキの手箒作りに挑戦

モロコシ手箒


モロコシ手箒は、台所やリビングだけでなく仕事用デスクなどでも、ちょっとした掃除に重宝する。キーボードの掃除に使われ方も多いのではないかと思うので、前々から高知特産黒竹を柄にしたタイプが欲しいと思っていた。


手箒用ススキ材料


職人さんとお話しする機会があったのでお話ししているうちに軒下に積まれているススキの穂が目についた。手箒の素材はモロコシ草だけではない、全国各地には様々な自然素材を使った箒があるが何とススキも箒になるのだ。


手箒作り方


そこで、ひとつススキ手箒の作り方を手ほどきいただく事になった。一度試してみる事は大切だ、構造がよく理解できる。


ススキ手箒作り方


手箒作り


ススキ手箒


最初は慣れない手箒作りも、パターンを覚えて出来るようになってくると楽しい。やはり手仕事はいいモノです。





高知特産黒竹で玄関すのこ

黒竹の竹林、竹虎四代目(山岸義浩)


虎竹の里から車で10分の所にある黒竹の竹林にやって来た。この辺りは江戸時代から美しい黒竹が有名で「黒竹なる名品あり、笛に適す」と土佐藩山内家の皆山集という文献にも載っている産地だ。虎模様の虎竹と違って真っ黒い竹で、太さも虎竹に比べると随分と細い。


黒竹玄関すのこ


しかし、竹は大きければ良いというものでもなく、黒竹の細さと色艶を活かして製造しているのが黒竹玄関すのこ。これからの季節は素足でいる事も多くなるが、足裏に何とも気持ちのいい感触がある。革靴で自宅に帰って来たお父さんは、この天然竹の細身の踏み心地にホッと安堵するのではないだうろか。


黒竹


地元大学教授の方が、塩分と植物の成育についてお話ししてくださった事があって、虎竹の模様も海風が関わっているようだが、黒竹にも同じようなメカニズムが働いているように思っている。今まで何カ所もの竹林に入ったけれど、どこも海に近く太平洋からの風を受けやすい所にある。


黒竹玄関すのこ製造


黒竹玄関すのこ


この季節になると、今年も暑くなりそうだなと予感するような日がある。黒竹の竹林に向かうのは冬場だけれど、それでもキラキラと目にまぶしい程の海からの照り返し、この竹も又、土佐の明るい風土が育んだ竹なのだ。





高知特産黒竹の竹林と玄関すのこ

黒竹の竹林


高知県は黒竹も特産だ。虎竹の独特の模様には潮風の影響があるのではないか?と高知大学の先生が言われた事があるが、自分もどうも竹の品質には南国の明るい陽射しと共に海風の影響を受けているような気がしてならない。黒竹の生育している山々が全て海の近くで、潮の香や波の音まで聞こえる竹林まであるからだ。


黒竹玄関すのこ


竹と言えば山深い場所を連想されるのが普通だけれど、黒竹を思う時はいつも高知の太平洋が頭に浮かぶ。黒竹は細身の竹なので丸竹を真っ直ぐに矯め直した竹材で玄関すのこを製作している。


黒竹玄関すのこ


竹は丸竹のまま使用すると割れやすいものだ。しかし、案外この細身の竹はわれる事が少ない。


黒竹玄関すのこ


幅90センチ、奥行き40センチの黒竹玄関すのこを4台揃えて広い月見台のように使う事もできるし、長く繋いでも使える。高知特産の黒竹も多くの方に知って頂きたい。




矢竹の花籠

矢竹花器


対馬の万能籠「タカゲ」と矢竹のお話しをさせて頂いた。日本にはが600種もあって、地域により竹の呼び名が微妙に異なることは多い、虎竹でさえ「コハンチク」と呼ぶ職人さんもいて「トラタケ」という名称に統一したのは自分たちの世代になってからなのだ。まあ、竹の名前はさておき、それでも矢竹の編組細工はやはり珍しい。


矢竹花籠


新鮮組の土方歳三が庭に植えた矢竹が有名で良く知られているように、元々は戦時の矢に使われる竹材だ。それだけに稈が真っ直ぐで節が低く節間は長い、そして更に強い。実は竹細工にも最適な素材と言える。


矢竹の花籠


そこで、その昔はこのような花籃も編まれていた。細い矢竹で取る竹ヒゴはゆるやかなアールがついて篠竹やスズ竹、根曲竹に通じる独特の趣がある。


矢竹花活け


細い矢竹を底の四隅に通したあしらい、細いカズラと組み合わせた巧みな作りは今では見られない熟練の技だ。竹材の豊富さ、多彩なテクニック、竹の世界は先人に学ぶことばかりだと思う。


竹炭と竹集成材と虎竹と、空気清浄機「竹風」

空気清浄機「竹風」試作第一号


空気清浄機「竹風」を待ちかねていたのは自分だろう。まだ内部のファンや竹炭カートリッジなど取り付けておらず、仕上げ前の竹集成材で組まれた試作第一号が出来上がった時には嬉しくて仕方なかった。前面を飾る虎竹は、こんなに美しい竹なのかと改めて魅入った。


空気清浄機「竹風」、竹虎四代目(山岸義浩)


この時の試作機は、今も自分のデスク横でずっと静かに動いてくれている。竹は優しいイメージがあると共に、実は非常に硬度がある素材だ。皆様も良く目にする事のあるヒノキ材と比べても2倍程度の強度がある、その硬度を今回の空気清浄機のデザインに活かしたいと思っていた。エッジの効いたシャープな形は思い描いた通りで本当に気に入っている。


空気清浄機「竹風」日経MJ掲載


しかし、自分ばかりが満足していても仕方ない(笑)。先日の雑誌monoマガジンや、日経MJでは注目の一品として取り上げて頂いたけれど、こうやって少しづつ知っていただければ良い。


空気清浄機「竹風」


空気清浄機「竹風」には、800~1000度の高温で焼き上げられる土窯作りの最高級竹炭を2.5キロも使っている。竹炭は燃焼温度帯によって吸着特性が変化する、ホルムアルデヒドとトルエンの吸着試験で好成績が出て「化学物質過敏症の方のための製品だ」と試験機関から言っていただいたのは、この最高級竹炭の力だ。


空気清浄機「竹風」


それにしても、この格好良さは何だろう。竹炭と竹集成材と虎竹と、竹を割って並べただけなのに、江戸時代から続く虎竹の里に暮らす竹人の息づかいまで見えてくる。