虎竹の山出しと運搬機2021

虎竹伐採

 
虎竹の里での伐採も今月末までとなりました。虎斑竹の古里焼坂の山道を登って行くと虎竹が山道に立てかけられているような不思議な光景で出会います。これは立てかけているのではなくて、山道の右手側上の竹林で伐竹した竹を滑り落としているのです。後は山道に並べて束に縛るだけなので比較的スムーズに山出しできる竹林です。




ところが多くの竹林は細く急な山道を場所によっては1時間も登らねばなりません。そして、この竹運搬機に少しづつ載せてトラックが乗り入れる事のできる所まで運びだしてくるのです。昔使われていたキンマと呼ばれる木製のソリの時代に比べると格段に作業効率が上がったものの、やはり大変な事に変わりありません。


虎竹、土場での選別


虎竹の模様は成育して3年以降の竹に表れます、苦労して山出しされた虎竹は一本一本模様や太さ、品質を確認しながら等級によって選り分けています。実は竹の虎模様がどうして付くのかはハッキリと解明されていません、しかし気温が低いと良いと昔から言われていて、この冬の寒さには少し期待もしています。いずれにせよ自然まかせ、人の力の及ばない世界です。


秋空の虎竹の里

 
虎竹の里、竹虎四代目(山岸義浩)


まだ日中は暑くて汗をかくほどですが、それでも9月も下旬となりますと空の色や風が少しづつ秋の訪れを教えてくれるから不思議なものです。気持ちの良く晴れ渡った虎竹の里には黄金色に実った田園が広がり、こうして歩いているだけで心が豊かになってくる気がします。


日本唯一の虎竹


向こうに見えるのは虎竹の古里、焼坂の山々。さてそこで、この景色ととの意外な共通点があるのですがお分かりでしょうか?実は何を隠そう竹はイネ科なのです!大きさも形も随分違いますので初めての方は信じられかも知れません。しかし、120年に一度開花すると言われる竹の花をみると、まるで稲穂のように見えます。四季のある日本の美しい自然が美味しいお米を育むように、同じイネ科の竹の品質にも大きく関わっているのです。




あれから20年!牧野植物園の虎竹はどうなった!?

牧野植物園、竹虎四代目(山岸義浩)


綾小路きみまろの爆笑ライブで連発される「あれから40年!」ではありませんが「あれから20年!」です。高知市の五台山にご自身を「草木の精」と言われていた世界的植物学者・牧野富太郎博士の足跡をたどる事のできる牧野植物園が新しく開園されたのは1999年の事でした。何を隠そう牧野博士が虎斑竹命名の父という事で虎竹の里とも縁は深く、これを機会に他の地域ではうまく成育しない虎竹を移植してもらってから早くも20年が経ったのです。


牧野植物園、竹虎四代目(山岸義浩)


当時、ミュージアムショップにも虎竹製品を並べて頂いておりましたので毎月のように足を運び移植された虎竹の成長を見守ってきました。竹は成長力が強く毎年筍を出して新しい竹が増えていきます、最初の頃は感じなかったものの何年か経過すると徐々に新竹の様子が変わってきました。虎竹は淡竹の仲間なので竹表皮がしろっぽく見えるのが特徴です、良質の虎竹はその下に虎柄がうっすらと見えるものですけれどどうも柄が入っていないようでした。


さて、あれから更に月日が流れて今年は2020年...開園の時から人気のスポットとして沢山のお客様を楽しませ続けている牧野植物園の虎竹はどうなったのか?YouTube動画で詳しくご覧ください!




只今、日本唯一の虎竹の里は「リアルたけのこの里」

虎竹若竹


虎竹の里は、まさに「リアルたけのこの里」。次々に新しく活力のある筍が頭をだして、どんどんと伸びて行ってます(笑)。今日は気持ちのよい青空が広がっていますけれど、梅雨時の水の豊富な時期には「雨後の筍」という言葉通り生えてきて何と一日に120㎝も成長する事がありますから筍の成長力は凄まじいものです。


「男子、三日会わざれば刮目(かつもく)して見よ」と言う言葉があります。志ある者は常に成長していて3日会わなかったら別人のように大きくなっている、そんな意味かと思っていますが筍の季節の竹林が全く同じで次の日、その次の日でも竹林の景色は全く違います。




本日は虎竹の筍が若竹になりつつある画像をご覧いただいています。もしかしたら青々とした竹なので「虎模様が付いていない...」と疑問に思われている方がおられるかも知れません。しかし、虎竹も若いうちは他の竹と同じように青い色合いをしていて虎模様が浮かび上がるようになるには3年程度かかります。


孟宗竹若竹


そこで、少し前に既に若竹になっている国内最大級の孟宗竹と見比べてみましても見分けが付けられません。太さの違いは竹の個体によるので、ご注目いただきたいのが竹の節です。


竹虎四代目(山岸義浩)


虎竹は淡竹(はちく)の仲間なので節が二本の線になっているのに対して孟宗竹は一本です。この辺りの事は、先月の8日に公開させていただき既に再生回数が1万回を超えておりますYouTube動画で詳しくお話しさせてもらってまいす。よろしければご覧ください。


虎竹筍


立派な虎竹の筍が生えています、近年太さのある竹は少ないので期待の新人です。




日本唯一の虎竹も筍の季節

虎竹筍


今年は何度か筍を食されましたでしょうか?一般的に筍と言いますと日本最大級の大きさである孟宗竹の筍を事を指していう事が多いと思います。全国各地に筍狩りができる観光用竹林がありますけれど孟宗竹以外は見た事がありません、それだけ筍といえば孟宗竹というイメージが強いのではないでしょうか。


日本唯一の虎竹


ところが日本には600種類という驚くような数の竹の種類があり三大有用竹と呼ばれる孟宗竹、真竹、淡竹でも当然筍が生えます。真竹は苦竹と書くこともあるように少し苦味がありますが淡竹は非常に美味でこの時期は山里のある産直市場などに行くと必ずと言ってよいほど置かれています。


虎竹の筍


筍の生える時期も孟宗竹、淡竹、真竹の順番に少しつづズレています。虎竹の里にも太い竹は必要だったですから孟宗竹も極一部ですが植えられて竹林があります。孟宗竹と同時に虎竹の筍が生えれば少しはマシのような気もしますが、この微妙な旬の違いが引き起こす災難がコレです。


筍食害


竹林に行くたびこのように虎竹の筍が折られて落ちています。孟宗竹の筍が竹になってしまい食べられなくなってから淡竹が旬を迎えます、まだ真竹は生えていません。そこでその旬を知っているかのようにイノシシやサル、あるいはシカが筍を食べるのです。


虎竹の里の竹は土佐藩政時代から年貢として山内家へと献上されてきましたので、恐らくその当時から虎竹を食することはなかったと考えられます。初代宇三郎が虎竹と出会ってから100年、自分達も虎竹を食べた事はありません。筍の時にはどんな良い竹になるか分からないからです。




ところで、孟宗竹と真竹、淡竹の簡単な見分け方をお教えしたいと思ってYouTube動画にしています。この2週間で再生回数が5000回を超えていますので関心のある方も少しはおられると嬉しく思っています。


虎竹茶2020

虎竹茶、竹虎四代目(山岸義浩)


昨年は作る事のできなかった虎竹茶を今年は何としても作らねばと思っていました。竹のお茶など一体誰が喜ぶのか?と思われるかも知れませんけれど虎竹の里にお越しになられた皆様に飲んでいただいたり通販の方でも全国から何人もの方からお問合せいただくなど結構ファンの方もいらっしゃって、お待ちかねをいただくお茶なのです。


虎竹葉


例年でしたら虎竹伐採の1月末日までの時期に合わせて竹葉摘みをしますので、写真のようにダウンジャケットにマフラー姿のような寒い時期に社員総出で行っています。


虎竹筍


ところが今年は諸事情が重なり、早い竹林では虎竹の筍が頭を出しています。


虎竹の里


随分と遅くなりましたので強い日差しの中、竹葉摘みのために竹を伐採しています。


虎竹葉収穫


竹葉のついた枝はかさばります、2トントラックに数台もの竹葉を集めました。


沢渡茶、竹帽子


今回製茶の時期が少し遅くなった理由の一つには、特別にブレンドさせてもらう事となった新茶があります。仁淀川町は沢渡のお茶は、その生産の背景や携わる人々の思いは竹虎に通じるものがありました。詳しくは明日の30年ブログ「竹虎四代目がゆく!」でお話いたします(笑)。


白石白雲斎先生の虎竹

白石白雲斎、竹虎四代目(山岸義浩)


白石白雲斎先生の作品は、一見して平凡に見える花籠だから多くの方はそのまま見過ごしてしまっているに違いない。しかし、この虎竹花器の手触りといったらどうだ。こんな手触りの心地よい虎竹があるだろうか?こんなに強い虎竹は見た事がない。


白石白雲斎


昔ながらの職人の中には使いやすいと言って淡竹しか手にしない方もいるものの、それはかなり稀である。けれど、そんな淡竹の仲間である虎竹を、自由に操りここまで完成度を高く編み込む技に到達するまでには一体どれだけの籠を編んできたのだろうか?


白石白雲斎


一流の作品の数々、ずっと一緒にいても飽きることがない。かすかな違和感を覚えるのは近年の虎竹と柄の入り方が違うからで本当に面白い。


白石白雲斎


持ち手の巻き込みも凄い、寸分のスキもない。


白石白雲斎


もうひとつ、染の花籠がある。竹虎の店舗に展示されている染めの作品はすべて根曲竹ばかりだったこともあって最初は気づかなかったけれど籠の雰囲気がどうも違う。そこで手に取って良く見てみると驚いた!かすかに薄く染まる部分から虎竹の模様がのぞいている。なんと虎竹を根曲竹の籠などと同じような黒染にしているのだ。


白石白雲斎、竹虎四代目(山岸義浩)


色付きのよい竹はそのまま虎竹の作品として、そうでない竹は染竹として使っている。祖父が厳選した竹を更に厳選していたのである、どうりで虎の籠が特別なわけだ。


白石白雲斎オブジェ


そうして選び抜いた竹素材で創作されたひとつには、このような大型の作品もある。オブジェとしての存在感もありながら、活花との相性も良さそうだ。上手く花器として使いこなせる方の手によれば、竹編みも花も両方が更なる高みに昇華するに違いない。


虎竹の真の価値

虎竹の里、竹虎四代目(山岸義浩)


日本唯一の虎竹の伐採自体は1月末までなのですが、その期日に山出しが終わるという事ではありません。枝打ちと言って竹の小枝を鉈ではらい、竹林から運び出される作業はそれからずっと続くのです。自分が入社した頃には今とは比べものにならない程の量が出荷されていましたので、遅い山だと5月の中旬あたりまで山仕事があったものです。


虎竹の里


それにしても竹林からこのようにが伐り出されてるいる光景は、いつ見ても心が弾みます。竹は竹林にある時が一番美しいものですが、こうして山から出ていかないと沢山の人様に喜んでいただく事はできません。それぞれが製竹され竹製品となっていく門出でもあると思うと嬉しくて仕方ないのです。


日本唯一の虎竹


近年の温暖化が大きな要因となっている虎竹の色づきは、今年も暖冬で思うような竹にはなっていません。ですから、この竹のように白い蝋質の下に虎模様が確認できるとホッと安心します。


日本唯一の虎竹


虎竹の歴史は古く藩政時代には年貢として献上されてきました。つまり少なくともその当時から先人が守り育ててきた竹であり、はじめて来られた方でもその美しい竹林に感じって頂ける方が大半です。


虎竹の里山の職人


しかし、本当の意味でご理解いただいてる方は少ないかも知れません。この山の竹はすべて竹製品や竹細工にされるための竹たちです。筍農家の畑ではありませんので自分達はもちろんの事、虎竹の里でこの100年虎竹の筍を食した話を聞きません。そうやって慈しんできた山の職人の努力は、そうでない竹林に触れてはじめて感じるものです。手入れされない普通の竹林の様子がどうなのか、実は皆様はそこまで関心をもってご覧になられていないのではないでしょうか。


荒廃した真竹林


手入れされない竹林はこうなります。かっては良質の真竹が伐り出された竹林でさえ誰にも使われず忘れられてしまえば、このように中に人が入ってくることすら拒ばれているかのようになるのです。日本の竹を知れば知るほど、虎竹の里の価値がようやく少しづつ分かってきます。


虎竹ボールペン、100年

虎竹ボールペン


もう十年近く自分は虎竹の水性ボールペンを使っている、大阪の熟練職人が「あんたならコレ使いなはれ」と手作りしてくれたものなので手放せない。今度、新しくできた虎竹ボールペンも悪くない。しかし、やっぱり次の虎竹は万年筆にしたいと思っている。


虎竹の里


どうしてだろうか?この竹は間口にしてわずか1.5キロの幅しかない虎竹の里と呼ぶ谷間の山にしか成育しない。


虎竹の里、職人


整備され。


日本唯一の虎竹


育まれ。


虎竹の山出し


山出しされる。


虎竹、竹虎四代目


100年同じことを繰り返している。


虎竹の力

レッドブルボックスカートレース、RedBull boxcart race


今月の10月6日は竹虎設立記念日でしたが、そのアニバーサリーに見事に奇跡の準優勝させてもらったレッドブルボックスカートレース(RedBull boxcart race)2019の模様をMSNのトップページに掲載いただいていました。


竹虎四代目(山岸義浩)、レッドブルボックスカートレース、RedBull boxcart race


虎竹の里は、わずか700名が暮らす須崎湾に面した静かな山間の集落です。下の浜には今日も投げ釣りの人が見える長閑な所なのです。


竹虎四代目(山岸義浩)、竹虎本社工場


フレームだけの車体を持ち帰った時には、さすがにここから作った事もないREIWA-125号を製作し、遠くスペインに走りに行ったり、東京のレッドブルボックスカートレースで堂々の準優勝したりと言うことは想像もできなかったかも知れません。


レッドブルボックスカートレース、RedBull boxcart race


頭で思い描くことで実現しない事はないのです。ただ、レッドブルボックスカートレースは日本で開催されるのは4回目とあって経験者の方も多かったですし、レースや車体製作の専門の方々もおられました。パフォーマンスでも毎日お客様を前に演技されているプロの皆さんもいてレベルの高さに驚いていました。


竹虎四代目(山岸義浩)


全てのチームが走り終えた後にはステージ前で順位の発表があります。しかし、とても自分達では入賞など考える事もできないと思ったのでしょう、職人は早々に普段着に着替えてしまっていました。自分達の仕事や虎竹を信じきれていない彼らだからこそ、今回のチャレンジは意味があると思っていたのです。


結果は申し上げているように堂々の総合第2位、今度もまさに先人が守り続けて来てくれた虎竹の力です。




レッドブルボックスカートレースへの取り組みは本日のNHK高知放送局「こうちいちばん」午後6時10分~午後7時00分の中で紹介いただきます。よみうりランド特設会場でのレースの模様も放映予定、高知の皆様は是非ご覧ください。