笹のような竹

竹の植栽


近年都会では竹の植栽が増えたというお話を、ずっと前にさせてもろうた事がありますぞね。竹は一年通して美しい緑の葉を繁らせて、凛として立つ姿は都会のモダンな景色の中でも不思議なくらい似合いますぜよ。アメリカなどでは特に竹の植え込みは重宝されちょって、高級住宅地にいくとアチラコチラで目につく大人気の植物との事です。竹の持つオリエンタルな雰囲気が欧米の方からしたら、こじゃんと魅力的に見えるようながです。


日本でも、昔なら家の近くにあって身近に感じちょった竹が、どこかの公園に行ったり、遠出の時にしか目にしない。馴染みの浅いものとなったことが、今の竹の植栽に繋がるとしたらちっくと悲しい思いですが、最初から全く知らないのと、現代の日本人のように忘れちゅうだけと言うのは、まったく違うと信じちゅうがです。


笹のように背が低く、小振りな竹が植わっちょります。竹葉や稈は、どう見ても立派な竹やのにと不思議に感じます。そもそも竹と笹の違いは結構あいまいで、専門家でも間違える事があるようなので、疑問をもって植え込まれてちゅう竹を見る方は少ないですろう。けんど、自然の世界の中ではあまり見る事のない笹のような竹。


実は、この竹は品種改良によって都会の狭いスペースに適応させた、植栽専門の竹達ながです。目に鮮やかな緑を見て心癒される事はあっても。何気に見過ごしてしまう竹ながですが、この竹にも、情熱を燃やし続けられる竹人の姿があるがです。


イタヤ細工のような竹細工

イタヤ細工のような竹細工


秋田県のイタヤ細工をご存じですろうか?原材料はイタヤカエデの若木を使うちゅうそうですが、白木が目にも清々しく丁寧に幅を揃えられた材料で網代編みされた手提げ籠バックや小物入れ、弁当箱など色々な品が作られちゅうがです。


そんなイタヤ細工を思い出させるような竹細工に出会いましたぜよ。昔ながらの職人さんの作というのが一目で分かるのは、現在の竹細工は価値のある竹表皮部分は使いますけんど、このような竹の身の部分を使うような事はしないのです。


竹網代編み


本当に竹やろうか?竹と分かりながらも近寄って手にしてみたら、竹節があるし間違いなく、やっぱり竹ですぜよ。それにしても竹ヒゴを綺麗に取っちょりますちや。こんな竹の身を美しく仕上げる細工は、ほとんど見た事がないですし、こじゃんと違和感があるがです。


壁竹を知らない方も多いかも知れませんのでご説明しますけんど、昔の住宅は土壁でしたので、その芯になる部分に竹で格子を組みよりました。自分が入社当時には竹虎では二級品の虎竹を使うて、10トントラック満載になるまで、この壁竹を製造しよりましたぞね。壁竹でも丈夫な表皮部分は製品に使いますが、皮を使うた後の身の部分が山のように出来るのですが、一度も何かに使うた事がありませんぜよ。だから、こんなに幅をそろえて整えた竹の身を見ると驚いてしまうがです。


竹籠


まっこと遠目に見たらイタヤ細工と間違えても不思議ではないような、ちっくと珍しい竹細工、前には色々と作られよったようですにゃあ。どうしても耐久性や強さに劣りますので、国産の竹細工としては今後も作られる事はないですろう。けんど、竹の歴史の1ページを垣間見させてもろうた思いながです。


竹の顔

ロマンスグレーな竹籠


床の間に飾られる貴婦人のような竹もあれば、肝っ玉母さんのように台所で働いてくれる逞しい竹もある。毎日の食卓に当たり前のようにある竹もあるし、心強いパートナーとして行動を共にしてくれる竹がある。そして、庭先で目を楽しませてくれる竹。床下や壁の中など身近にありながらも目に触れる機会の少ない縁の下の力持ちの竹もありますろう。


一本の竹からは、まっこと多種多様な用途でいろいろな形の竹細工や竹製品、竹工芸が産み出されますきに、先人の知恵の深さや職人の手の素晴らしさをいつも、つくづく感じゆうがです。


そんな色々とある竹の中で、自分がいつも目をとめて心惹かれる竹達には庭先や屋外で、真っ黒になっちゅう籠たちもおるがです。この竹籠は外の水回りで活躍し続けよりますので、人間やったら太陽に当たると肌は黒くなるもんやけんど、反対に色あせて白髪になっちゅうように見えますちや。こりゃあ、こんながを確かロマンスグレー言うたろうか?なかなか渋いぜよ、もしかしたら竹籠界ではモテモテですろうか?


竹ち、まっこと面白いがちや。もともとは同じ竹であっても室内で飾られちょったり、たまの買い物について行ったり、キッチンで毎日活躍しよったり、外で力仕事をしよったり、暮らし方で顔がそれぞれ違うてくる。人と同じで竹の顔は、自分で作るがやにゃあ。


古い酒蔵の天井

天井の竹


築数百年という古い酒蔵には、力強さを感じる太く曲がりくねった長い梁が通っちょって、まっこと雰囲気がありますぞね。薄暗く、日中でも涼しいこの建物の中には、その酒蔵ならではの菌が住みついてそれぞれ特徴のあるお酒造りに役立つと聞きました。なるほど、だからこの昔ながらの酒造メーカーさんもこの酒蔵を大事にし、誇りにしちゅうがやにゃあ。そう感心して天井を眺めたらズラリと竹が並んじゃある。


こりゃあ、壮観やちや。これだけの大きな建物に屋根に敷き詰めるだけの竹言うたら、これは、ちっくとではないはずぜよ。まあ、しかし最初の蔵から次の蔵、その次の蔵。そして、その後の...。


広い敷地内にある、どの建物にも同じように竹が使われちょりましたぞね。一昔前の建物言うのは、こうやって竹を沢使うちょったがやにゃあ。漆喰の壁の中にも、天井と同じような割竹が壁竹として使われちゅう事を考えながら、成長の早い竹がこのような建材として多用され役に立てよったエイ時代の事を思わずにはおれんがです。古き良き時代と同じような竹の活用はできんかも知れません。けんど、何らかの新しい形で竹の出番は、きっと来る。自分はそう固く信じちょりますぞね。


ラーメン店の竹シェード

竹シェード


竹はどこにあるがやうろか?竹細工は最近見なくなったにゃあ。などと声を聞く事がありますけんど、その実、竹が周りから少なくなった言う事もありますけんど、竹に関心が無くなった言う事もあるかも知れませんぞね。


たとえば、ふらりと入ったラーメン店。こうやって上を見上げたら何と年期の入った渋い竹のシェードが使われちゃある。この下で今まで何人のお客様が、フーフー、、、ツルツル、、、舌鼓を打ったか分かりませんけんど、この格好のエイ竹細工に気がついた方は何人おりますろうか?


は日本人にとっては、こじゃんと身近な素材でずっと昔から生活の中にとけこんで来たモノの一つ。ちっくと皆様の頭から離れがちになっちゅうのは、ほんのここ数十年の事ながです。だから、周りを見回してみとうせや。おまん(あなた)に、気づいてもらいたい言うて意外と近くに竹があるかも知れませんぞね。いやいや、きっとあるハズですぜよ。


 

竹の花

竹の花


に花が咲く事をご存じですろうか?「ええっ!?竹の花なんか見たことないです」そう言われる方がほとんどではないかと思います。竹に花が咲く等という事はあまり知られてはないがです。


けんど、それもそのはず。花の咲くのが60年に一回とも、120年に一回ともいわれて、その周期が、こじゃんと長いですきに、普通は目にする機会は少ないですし、実は研究されゆう方もなかなか大変ながです。


竹の花が咲くとその竹林は全て枯れてしもうてタネが落ち、竹林が又再生していくというサイクルながです。けんど、一斉に咲くのではなく、竹林で限定的に咲く、部分開花は沢山ではないですが、所々で確認はされゆうようですぞね。


さて、ところで、この竹の花をご覧になられていかがですろうか?何かに似てはないですろうか?そうながです、稲穂にそっくりではないですか。こうやって日頃見ることはできない竹の花を見ると竹はイネ科と言うのが納得できるがですちや。


浴場の陰の主役とは?

竹すのこ


暑い季節、やっぱりお風呂が気持ちエイですぞね。夏場はシャワーですませてしまう事が多いがですが、暑い時に、熱いお湯にのんびり入るというのも、暑い時に熱い食べ物を頂くのと同じような爽快感がありますちや。


さて、先日もお陰様でゆったりできるお風呂を頂いて、つかりすぎたようで、ちっくとのぼせ気味で大浴場から一歩足を踏み出すと、


「おおっ!」


もう一歩踏み出してみて、


「おおおっ!!!」


ここの出入り口には粋な計らいされちゅうがやったぜよ。まっこと、まっこと、それでなくても気持ちのエイ刺激のある丸竹ですが、風呂上がりで、火照った足裏へ更に竹の心地よい刺激がビンビンとくるがやきに、お風呂場に来られちゃある皆様はこの竹の大活躍に気づいてくれちょりますろうか?あまり目立ってはないですが、縁の下の力持ちとして気持ちの良いお風呂上がりを、更に気持ちよくしてくれゆう陰の「主役」と呼びたいくらいながです。


こう思うたら、雑誌「家庭画報」さんにも取り上げてもろうて、お陰様で皆様から好評いただきゆう黒竹玄関すのこ。製造を始めてから何年も何年もかかりましたけんど、ようやっと皆様に、少しだけご支持いただけるようになったのも自分が使うてみて足が喜びゆうにゃあ...。そんな思いが繋がっただけの事ですろう。お風呂場の扇風機で涼んだらガンバリゆう白竹に挨拶して部屋に帰りましたぞね。

竹が育毛のお役にたてる

薬用育毛剤たかんな


中学、高校の頃は丸坊主やったがです。クラスの誰よりも額が広いので大人になったら一番に禿げる、そう、ずっと言われちょりました。ところが、どっこい。すっかり毛髪が寂しくなった同世代を横目に、予想を裏切り今でも黒々としちょます。


これは若い頃に育毛剤で手入れをしてきた成果ではないかと実はずっと思うてきました。だから、「竹が育毛のお役にたてる」そんな話しを聞いた時、一日120センチも伸びる竹の神秘的な成長力、そして、無尽蔵の資源の事が頭にピンと来たがです。


竹は毎年、何の手入れもしなくてもしっかりと張り巡らされた地下茎から筍がドンドンと出てきます。スクスクの伸びる成長力は、まっこと驚くばかり。だから継続利用可能な唯一の天然資源などと言われますとおり、伐っても、伐っても使いきれないと思ってしまうほどながです。そんな竹の成分だから、そのパワーにあやかって名付けた、商品名の薬用育毛剤「たかんな」とは、まさに筍の事ぞね。髪の毛が、雨後の筍のようにという願いも込めちょります


開発者のチェユンソン先生に出会うてから自分も約2年間使いよりますが、今まで月に1度のペースの床屋さん通いだったのが、髪の毛の伸びるスピードが早くなったのか...?月に2度も行かねばならないようになっちょります。


今まで知らなかった竹の新たな一面を見たようで、竹と人はこんな関わり方もできるのだと改めて竹という素材の可能性に感じ入っちゅうがです。どうですろうか?竹は凄いですろう。


竹密度とは?

和傘


和傘は好きで、ずっと愛用していた時期もありました。それこそボロボロになって穴があくまで持っちょりましたが、そんな傘を差しちゅう方は、最近いないのでかなり珍しがられたことを覚えちょります。使い勝手から言うと、確かに洋傘や折りたたみ傘にかないませんけんど、もともと竹虎が明治27年に大阪天王寺で創業した当時、和傘の骨竹などを扱いよったという事を祖父からずっと聞いて育った言うこともありますろうか?


昔から日本の暮らしになくてはならない竹製品のひとつと言うこと以上に妙に愛着があるがです。今、大切に使いよります国内老舗メーカーさんの洋傘も、傘骨の多さや、持ち手の竹根などが何となく和傘の雰囲気を醸しだしちゅうきに気に入っちょります。


とあるイベント会場で野点用の大きな傘を見てこんな事を思いよりましたが、そうそう、こんなお話をご存じですろうか?竹林の手入れのお話ですけんど、毎年ドンドン生えて、成長も驚異的に早い竹、しばらく放置しちょりましたら人口密度ならぬ竹密度がこじゃんと高くなります。そこで、適正な隙間ができるように間引く事も必要になってくるがですが、どれくらいの間隔で竹を伐ったらエイと思われますか?


実は、なんと先ほどからお話しよります和傘がヒント。和傘を差したまま竹林の中を歩けるくらいそれくらい間合いを開けて手入れするのが適正と言われよります。

さて、さて、エイ事を聞いたと思うて早速、そんな目で皆様のお近くの竹林を見とうせや。どれくらい合格しちゅう竹林がありますろうか?


清々しいトイレ

白竹


美味しい料理でお客様をもてなすことに秀でた店舗は、トレイにもスキがないと思うがです。ここのトイレなども、まさにそう。入った瞬間に心が洗われると言うたら、少し大げさですけんど、ヒンヤリとした心地よい空気もさることながら一定間隔に割って壁に張りつめた美しい白竹が目にも鮮やかで、清潔感を、こじゃんと(とても)感じさせてくれよります。いやいやまっこと、清々しい気持ちになってくるがです。


壁に白竹をあしらい、手洗い場の流し部分には黒竹をスノコにして並べています。蛇口の水が飛び散らずに使い勝手がエイのです!こうやって竹をあちこちに設えるだけで、人里離れた庵であっても、大都会の高層ビルにあるお店であっても、同じような落ち着きとくつろぎを醸し出してくれますので、竹の持つ力というのは、いつもながら改めて凄いにゃあと感心してしまうちや。