漆塗装の国産竹カトラリー

漆仕上げの竹フォーク、竹ナイフ、竹スプーン、竹カトラリー


竹箸はじめ、竹スプーン、竹フォーク、竹ナイフなどのカトラリー類までも無塗装で仕上げて欲しいと言うご要望を頂戴する事がある。自然志向の方には、せっかく環境に優しい天然の竹を使用しているのに、ウレタン塗装などしてしまうともったいないと感じられるようだ。しかし、竹虎にある竹箸、竹カトラリーは全て国産だから、防虫剤や防カビ剤など一切使用せずに製作している。従って、竹素地のままだと実は管理が非常に難しい。




お客様がご家庭で使用される場合にも、無塗装だと竹繊維に食材や調味料の色が染みこむ事もある。何より竹の場合はカビが心配だ。季節によっては加工している間にもカビが生えてダメになる半製品が、それこそ山のようにあるくらい、竹はデリケートな素材だと知っておいてもらいたい。


漆仕上げの竹フォーク、竹ナイフ、竹スプーン、竹カトラリー


ただ、やはり過敏症の方で、どうしても無塗装でないとお使いいただけない方もおられる。そのような場合には無塗装よりは、漆仕上げをオススメしている。白っぽく見えるウレタン塗装した通常の竹カトラリーに比べ、ウレタン加工する前の素地に漆を塗布したものはコゲ茶色の渋い色合いになる。塗っては乾かし、塗っては乾かしと言う工程を4回も繰り返すが、この季節は湿度が高く比較的仕上がりは早いので、お客様には喜んで頂けそうだ。



国産の竹皮付竹串が復活!

国産の竹皮付の竹串


国産竹串がようやく復活した。こう聞いて、皆様はどのように感じられるだろうか?竹串なんか、どこにでも売っているし店頭から消えた事など一度もないではないか、何が「復活」なのか?焼鳥屋さんはじめ、食材に関わる方々なら少しはこんな事を思われるかも知れない。しかし、ほとんどの方は竹串など考えた事もないから、最初から意味が分からないのではないかと思う。


日本製竹皮付串


しかし、竹串の事を意識されていない日本に暮らす大多数の皆様も、実は日常的に竹串を手にされている。スーパーに入って総菜売り場を歩けば、和食、洋食、中華それぞれに竹串を使った食品が並ぶ。そもそも串の種類も、丸い竹串だけではない。その他にも、鉄砲串、平串、角串、団子串、田楽串、松葉串、結び串など一部をご紹介しただけでこんなにある。


国産カマボコ型竹串18センチ


そんな多くの竹串がある中で、やはり一番多用される丸竹串。日本で製造できなくなった、この丸竹串を何とか国産の竹を使い、日本の竹職人の技で復活させたのだ。竹は表皮部分が維管束(いかんそく)と言う繊維が密集していて強い、だから竹皮を2分残したカマボコ型の竹串にした。


国産竹串


竹串はまず先端の尖りが大切だ、加工機械を操り大量に作らねばならないが、まさにここが難しい。まだ、竹串など国産か知らないけれど関係無いと思われている方、もうすぐ土用の丑の日で鰻を食べられるのではありませんか?大量に消費される鰻の蒲焼には竹串が使われているから、多くの日本人は知らなくとも竹串のお世話になっている(笑)。


孟宗竹竹林


国産竹串18センチ


日本では孟宗竹の竹林面積が一番広いものの、筍などに利用される以外、竹細工や竹製品に活用される事は本当にごく一部だ。畑としてではなく、たくましい自然の中で大きく育っている孟宗竹は、人様の役に立ちたいと願っているように思う。そこで、多くの竹串には孟宗竹が使われている。ところが、竹皮付竹串は表皮の美しさにもこだわっているので何と真竹を使う。




以前、製造されていた国産竹串工場の活気があった頃の様子を動画に撮っていた。丸串の他に角串がある、小さい頃の竹虎の工場を彷彿させる、竹を切る音、叩く音、機械が回る、手慣れた手付き、あの職人さんが語りかけてくれる、久しぶりに見て涙が出た。



竹製鬼おろし、キチラブ掲載

竹製鬼おろし


この鋭い歯を見ると、なるほど鬼と言われるのが納得する。竹製鬼おろしは、とにもかくにもこのギザギザの鬼歯がポイントで、大根おろしだけでなく人参やリンゴなども摺り下ろせる秘密は竹素材の硬さにある。竹は本当に不思議な特性を持っていて、細く割って薄くしたヒゴは柔らかく、しなやかな優しさがある反面、ある一定の厚みがあればフローリングや壁材などの建材にも使われるような硬度があるのだ。


キチラブ


孟宗竹の太さ、厚み、丈夫さなどを活用した鬼おろしを「キチラブ」というキッチンから暮らしを考える、ライフスタイルマガジンに取り上げて頂いたので、改めて使い方や、どのようにして製造されているのかも知っていただければと思っている。




動画の中に出てくるように、今まで皆様が食されていた大根おろしとは随分違ったシャキシャキ食感があり、自分はサラダの上に盛って馬路村のポン酢しょうゆなどで頂く事が多い。


竹製鬼おろし雑誌掲載


竹製鬼おろし雑誌掲載


竹製鬼おろしには竹皿が別売りであるのだが、摺り下ろす時にも固定されて使いやすいので初めての方などには特にセットでお求めいただく事をオススメしている。


竹製鬼おろしg


それでは一体どんな風にこの竹製鬼おろしが作られていくのか?竹籠などの工房とは少し雰囲気が異なる、大型の機械が並ぶ工場で手際よく製造される様子も是非ご覧ください。





国産竹皮、お待たせしました復活します!

竹皮おにぎり弁当


竹皮に包むオニギリ弁当、こんなにシンプルなのに自然素材の持つ吸湿性、通気性、抗菌性まである超スグレモノなのだ。ところが、職人の高齢化や輸入品の増大などがあって国産竹皮の伝統は失われてしまい、ご要望の声を頂く事もありながら販売をする事が出来なくなっていた。そんな待望の国産竹皮が戻って来るのだ。


タケノコ


竹皮と言っても一体何なのか?先日、若い方と話していて、もしかしたら竹皮が竹のどこの部分なのかピンと来ていないのではないかと感じる事があった。そこで一応ご説明させていただくと竹皮はタケノコを包んでいる皮の事だ。


若竹の竹皮


分かりやすい画像が孟宗竹であったので、ご覧いただくがタケノコが竹に成長する過程でこうして竹皮を脱ぎ落としていく。この落ちた竹皮を拾い集めて乾燥、平らに広げたものが竹皮だ、ちょうど梅雨の時期と重なるので濡れたままの竹皮はカビやすく竹皮草履の職人なども毎日のように竹林に入っている。竹に残っている竹皮を剥ぐと竹が傷んでしまうから、自然に落ちた竹皮だけを集めるためだ。


拾い集める竹皮


竹皮を集めて土場に広げているとクルクルの丸まってしまうので天日干しにもコツがいる。


竹皮


平らに伸ばせば正真正銘の国産竹皮が出来あがる、直接オニギリなど食材を包むモノだけに安心して使える国産にこだわる方は多い。そもそも、皆様に手に取ってもらえる形にしないと竹林で次々に朽ちていくだけだから、資源の有効活用という意味あいも大きい。


水に湿らせる竹皮


細く裂いて使う竹皮


初めての方は触って硬いと感じられるかも知れない。しかし、水に浸けて湿らせると柔らかく、しなやかで使いやすい素材だと言うことがすぐにご理解いただける。とても強く破れにくいのだけれど、それでいて端をつまんで簡単に細く裂く事のできる特徴も併せ持っている。


竹皮チマキ


洗って干して何度も使える竹皮


チマキなどにも使う国産竹皮は、使い捨てではないところが最高に素晴らしいと思っている。竹皮の使い方に詳しくご説明しているように、水洗いして乾燥させれば繰り返しご使用いただけるのだ。




今では見られなくなった、貴重な竹皮生産の匠の技をYouTube動画にしているので是非皆様にご覧いただきたいと思っています。



国産で復活なるか!?竹楊枝

国産竹楊枝、日本製竹つまようじ


国産竹楊枝について今日は少しお話をしてみたいと思う。爪楊枝なんて小さなモノどうだっていいよ...まあ、そう言わないでいただきたい、「一寸の虫にも五分の魂」である。日本の竹を使って日本の職人が日本で製作した竹楊枝が三種類、自分の手の平に並んでいる、上から最近試作した国産竹楊枝、次が自分が愛用している昔に製造されていて現在残り少なくなってしまった国産竹楊枝、一番下はこれも製造中止となった竹皮付の国産楊枝である。




実は先日、無印良品が竹資源に着目して様々な商品開発をされているという事を動画にもさせてもらった。大量生産するには豊富な竹材が必要なので必然的に中国などでの製造になるのだが、そのラインナップの中にも竹楊枝があった。驚くのはその価格、何と180本入りで99円(税込)だ。


国産竹皮付楊枝


そんな安価で、そこそこの品質の竹楊枝が日本中で手に入る時代に、なぜ今さら日本で竹楊枝を製造する意味があるのか?いい質問だ、答えは「自分が使いたいから」に他ならない。


国産竹楊枝


この細さの竹楊枝は、繊細で使った事のない方なら少し頼りなく感じてしまうかも知れない。ところが、竹素材で一番強い竹皮を残してあるから、これだけ細くとも、しなりがあり何回か使えてしまう程丈夫で全く折れない。そうなると、この細さは狭い歯茎に使うのに最高の逸品となるのだ。


日本製竹妻楊枝


今回復活できないかと考えているのは、この竹皮付の楊枝ではなく自分が愛用している画像右端に写っている丸竹タイプの楊枝である。真ん中の試作と見比べてみてほしい、試作楊枝もそれなりの完成度で単品でご覧になれば問題無くお求めいただけるかも知れない。しかし、実際に使ってみると雲泥の差がある事にすぐに気がつく、楊枝の命である先端の鋭さが違うのだ。そして、竹楊枝の先端の「先付け」こそ製造の壁となって思うような出来になっていない。これを乗り越えられたら、先端がすぐにつぶれてしまう弱い木製楊枝など手に取る気など無くなってしまうような、鋭利で強い国産竹楊枝が帰ってくる。





わずか10枚から出来る、別注のオーダー竹簾

食卓に水切りの滴が落ちない竹製箱型すだれ蕎麦皿


竹製の簾(すだれ)は、これからの陽射しが強くなる季節には日除けとして使われる事も多くて、こちらは結構目立つので記憶されている方は多いのではないかと思う。ところが、水切りや、ザル蕎麦などで脇役となって頑張っている簾についてはどうだろうか?たとえば、この食卓に水切りの滴が落ちない竹製箱型すだれ蕎麦皿にも竹簾が使われている。竹集成材で作る四角い形にピッタリの簾でないと具合が良くない。




このように控え目ではあるけれど、無くてはならない名脇役は台所だけでなく、業務用としてレストランやホテル、食品会社の現場にも多々ある。製造する食材や、機械の規格によってそれぞれ異なるサイズの竹簾は概ねこんな感じで作られている。


別注すだれ


ヒゴ幅は7センチ~40センチの間で、たれと呼ぶ長さは7センチ以上ならご希望のサイズで製造することができる。別注と聞くとロットが気になるところだと思うけれど、何とわずか10枚から対応させて頂いているので注文しやすいのではないかと考えている。





国産丸竹串と角竹串

国虎屋、野本将文


国虎屋さんは40年前に教えていただいて以来、東方面にドライブに行くと必ず立ち寄る饂飩屋さんだ。戦国武将の安芸国虎から名前をつけたそうだが、同じ「虎」繋がりで親近感を持っていた。パリに出店されたと聞いた時には驚いたけれど、その後何年も経ってから現地で食べる国虎うどんは格別だった。Restaurant Kunitorayaの料理も美味しかった事を思い出す。そして、今回は更に焼鳥専門店「Charbon 国虎屋」を出店されたと高知新聞に載っている、さすが野本さんだ。


竹串


焼鳥と言えば竹串が無くては始まらない。今までなんとか国産の竹串を作り続けられていたメーカーさんが、とうとう思うように製造できなくなり日本製竹串の在庫も底をついてきたタイミングなので美味しそうな鶏肉よりも竹串に目がいってしまう。


孟宗竹


日本製の竹串は身が厚く、硬い孟宗竹を使う。割った竹材の表皮に近い部分が一番丈夫な所なので、竹皮が2割ほど入った竹串が自分は好みだ。使っていても、腰が弱くてすぐに曲がったり、折れたりする竹串は身の内側を使っているのか、竹材が若いのかどちらかだ。


竹串


国産で皮の付いた角竹串は、残念ながら今でも復活のメドは立っていない。しかし、どうにか丸竹串は皮付きでお届けできそうである。更に、本当は日本製の竹製爪楊枝を復活させてたいのだ、なぜって自分の愛用している手持ちが後少しで無くなるからだ。本物の竹爪楊枝を使ってしまったら、すぐに先がつぶれてしまうようなモノかとても使えない。また、安価な輸入の竹楊枝もイヤだ。



たかが竹串、されど皮付き国産竹串

竹串


今日の話題は竹串、日頃何気に焼き鳥やおでんを食べたり、おやつには団子を頬張る事もあるのではないかと思うけれど、その手には竹串を持たれている。恐らく日本に暮らす皆様で竹串のお世話になっていない方などいないのではないか?しかし、その多くは、いやほとんどは日本国内で製造された物ではなく海外からの輸入品だ。


竹串と一口に言っても丸串や角串、平串の他に鉄砲串や松葉串、のし串、田楽串等がある。長さや太さ形も色々あるし食材によっても実は多種多様な串があるから実は国産だけでは到底まかないきれない。中国をはじめ東南アジアには豊富な竹材があり、優れた加工機械と職人がいて日本の細かい需要に見事に対応している。


日本製竹串


価格でも、製造量でも太刀打ちできない日本のメーカーが次々と撤退した中で、今頃になって日本の竹を使った串を求める声が聞こえてくるようになった。理由はいくつかあるようだが品質へのこだわりが一番多い、少し遅すぎる感があるが、それでも国内の竹に目を向けてくれる方だとついつい嬉しくなり何とかできないかと思ってしまう。


無印良品なら180本入りで99円で売っている竹楊枝を、20倍以上の値段で製造しようとしているイカレた自分みたいな人間でないと、恐らく話も聞かないのではないか。竹表皮を串の先端まで残した、断面が三角の形をした別注竹串は手削りで仕上げている。食材の部位によって、丸串が適している所と、この三角串が良い所があって、二種類の竹串を使い分けると言う。


国産竹串


竹材から確保が大変になってきた時代だ、簡単そうに見えて難しく苦労の割に全く報われない仕事を引き受けているのは、国産竹串を使いたいという変わり者の先様に心を動かされたのと、やはり面白いからだ。試作を重ねて二度、三度、せっかくここまで来たのだから日の目を見せたいが、限界点もある。輸入竹串ばかりの中で、「国産ここにあり」の気概だけで数カ月取り組んだ結果が出る日は近い。





虎竹で作ったお一人様の茶碗籠

虎竹茶碗籠


元々は真竹で編んでもらっていた小さな茶碗籠がある。もし、お使いの方でこの30年ブログをご覧になられていたら「ああ、その通りだ」と納得いただけるかと思うが、小振りに編んでいるけれど驚くほど丈夫に作られている。そもそも昔ながらの竹細工は、毎日の生活の中で使われる事が前提の道具だったので強さが一つのセールスポイントだった。


虎竹茶碗籠


自分で編んだ籠や竹ザルを自身で売って歩く事も多かった。だから山や海や畑や、そして家の中で使うお客様の声を直接聞いて籠に磨きをかけてきたのだ。強靭さを求められる仕事の名残で、このような小さな籠も竹ヒゴの厚みをしっかり取って丁寧に作る。


お一人様椀籠


最近の竹籠は、見た目は良いけれど使ってみると頼りない物も多い。これは竹ヒゴが薄いのだ、作る方は編むのは楽だから、それで問題なければ元の厚みには戻らない。ところが昔気質の職人は少し違っていた、数個だけ虎竹で作ってみた茶碗籠だが、いつもと同じ厚みのある竹ヒゴを使うから竹質の違いでかなり難しかったようだ。同じ竹でも淡竹系の虎竹と真竹では、実は全く違うのだ。





虎竹スクエア茶碗籠、強さの秘密

スクエア茶碗籠


虎竹スクエア茶碗籠について少しお話しさせていただきたい。四ツ目編した通気性に優れて、角型の使いやすい籠だ、キッチンにも置きやすいとご好評いただいている。


虎竹スクエア四ツ目編籠


スクエアバスケットについては、台所だけでなく生活の色々なシーンでお使いいただけたら嬉しいとの思いで何種類かのサイズがある。


虎竹スクエア茶碗籠


茶碗籠については「竹茶碗籠のある暮らし」自分個人の強い思い出があってずっと力を入れてきた。


茶碗籠


茶碗籠足


他のスクエアバスケットとの違いは足がある事、足を付ける事によって籠の底に空間が出来て水切れが良くなるのだ。


虎竹スクエア茶碗籠


虎竹スクエア茶碗籠


籠全体に食器類の重みがかかるので縦ヒゴを口部分の横ヒゴにかけて折り曲げている。実はこうした一手間で竹籠の強度は全く違ってくる。