対馬の万能籠「タカゲ」と矢竹のお話しをさせて頂いた。日本には竹 が600種もあって、地域により竹の呼び名が微妙に異なることは多い、虎竹でさえ「コハンチク」と呼ぶ職人さんもいて「トラタケ」という名称に統一したのは自分たちの世代になってからなのだ。まあ、竹の名前はさておき、それでも矢竹の編組細工はやはり珍しい。
新鮮組の土方歳三が庭に植えた矢竹が有名で良く知られているように、元々は戦時の矢に使われる竹材だ。それだけに稈が真っ直ぐで節が低く節間は長い、そして更に強い。実は竹細工にも最適な素材と言える。
そこで、その昔はこのような花籃も編まれていた。細い矢竹で取る竹ヒゴはゆるやかなアールがついて篠竹やスズ竹、根曲竹に通じる独特の趣がある。
細い矢竹を底の四隅に通したあしらい、細いカズラと組み合わせた巧みな作りは今では見られない熟練の技だ。竹材の豊富さ、多彩なテクニック、竹の世界は先人に学ぶことばかりだと思う。
空気清浄機「竹風」 を待ちかねていたのは自分だろう。まだ内部のファンや竹炭カートリッジなど取り付けておらず、仕上げ前の竹集成材で組まれた試作第一号が出来上がった時には嬉しくて仕方なかった。前面を飾る虎竹は、こんなに美しい竹なのかと改めて魅入った。
この時の試作機は、今も自分のデスク横でずっと静かに動いてくれている。竹は優しいイメージがあると共に、実は非常に硬度がある素材だ。皆様も良く目にする事のあるヒノキ材と比べても2倍程度の強度がある、その硬度を今回の空気清浄機のデザインに活かしたいと思っていた。エッジの効いたシャープな形は思い描いた通りで本当に気に入っている。
しかし、自分ばかりが満足していても仕方ない(笑)。先日の雑誌monoマガジンや、日経MJでは注目の一品として取り上げて頂いたけれど、こうやって少しづつ知っていただければ良い。
空気清浄機「竹風」には、800~1000度の高温で焼き上げられる土窯作りの最高級竹炭を2.5キロも使っている。竹炭は燃焼温度帯によって吸着特性が変化する、ホルムアルデヒドとトルエンの吸着試験で好成績が出て「化学物質過敏症の方のための製品だ」と試験機関から言っていただいたのは、この最高級竹炭の力だ。
それにしても、この格好良さは何だろう。竹炭と竹集成材と虎竹と、竹を割って並べただけなのに、江戸時代から続く虎竹の里に暮らす竹人の息づかいまで見えてくる。
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竹集成材と日本唯一の虎竹の本体に、竹炭専用に改良した昔ながらの土窯で、熟練の竹炭職人が800~1000度の高温で焼き上げた最高級竹炭粒が何と2.5キロも使ったカートリッジ内蔵の空気清浄機 「竹風(タケカゼ)」が雑誌monoマガジンに掲載された。
空気清浄機「竹風」は、最高級竹炭の持つ力を最大限引き出し、自然の力で空気を濾過する他にはない全く新しい循環型室内浄化器だが、ダイソンやケルチャー、パナソニックと肩をならべて掲載いただけるとは思ってもみなかった。
雑誌monoマガジンに掲載された「竹風」を少しだけ動画で説明してみた。まだまだ舌足らずなところばかりなので、少しづつ充実させていきたいのでYouTube動画を何卒よろしくお願いいたします。
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亀甲竹の一輪差しをご存知だろうか?元々は孟宗竹の変種が固定化した竹で、節間の盛り上がりが亀の甲羅のように見えるから亀甲竹と呼ばれている。この竹の表情の面白い部分を切断して竹花入れ にしているのだ。
竹自体にも年期が入っていて、真っ白い竹肌は飴色のように渋い色合いに変わってきている。節の湾曲が「何故だ?」と言うくらいにカーブを連続して描いているが、亀の甲羅のような節の曲がりは、根元の方に多い。
節が真っ直ぐな普通の孟宗竹と比べると、まるで別の植物のように見た目が異なる。しかし、そのお陰で滑りにくく持ちやすい事から水戸黄門さんや四国遍路の方にもご愛用いただく杖になったり、釣り竿用としても使われてきた。
亀甲竹では面白い話があ。実は竹虎本社工場を建て替えた時に、お得意様から美しい亀甲竹を株ごと沢山いただいて庭に植えていた。ところが、植物のというのは土地や微妙な風土で思うように育たない事があるのだ。竹虎に移植した亀甲竹は、年々新しく生える新竹の亀の甲羅ようなデコボコが減っていった。そして、十数年経った後は、どこにでもあるような孟宗竹になってしまったから驚く。
虎竹の里でしか成育しない虎竹も、色々な所に移植しても美しい虎模様が出ない。竹に限った事ではないかも知れないけれど、自然は神秘にあふれている。