白い竹炭コロッケ

白い竹炭コロッケ


田舎者の自分は粗食に耐える方で、何でも美味しくいただけるタイプなのですが、真剣に「食」に取り組まれ、実践される方々がおられます。もちろん安心、安全と言うだけではなくて、人を魅了するような美味しさ、楽しさが、そこにはあるのです。なかなか簡単な事ではないし、誰でも出来る事でもありませんがそれを見事に体現されゆう方が近江牛ドットコムの新保吉伸さんぜよ。


肉と言う食材を中心に「出会い」を創造する「肉Meets」は、不定期ながらすでに30数回を重ねられちょって、常に満席、毎回大好評のうちに幕引きとなる素晴らしいイベントぜよ。このようなリアルの取り組みの活性化には、近年のフェィスブックなど便利なSNSの登場があり、上手な活用をされちゅう事もあります。地方から情報発信する自分たち小さな企業にも、見習う点が多々ある事は間違いではないのですが、ただ忘れてはいけない一番大事な点は、たまたま「志に技術進歩が重なって加速しただけ」と言う事、誰でも出来る事であり、誰でも出来ない事ながぜよ。


さて、そんな新保さんの案内で2年半ほど前になりますが、滋賀県で畜産を営まれよります木下牧場さんにお伺いした事があったがです。そして、その時に、ちょうど出会った子牛に「竹虎」と言う名前を付けていただきましたぞね。まっこと時の過ぎるのは早いものでその時の牛が食肉となり、いよいよ食される事になったがぜよ。


「竹虎くんを食べる会」が開催されましたのは、東京は東急田園都市線三軒茶屋から徒歩5分にある「愛と胃袋」さん。一度聞いたら忘れないような強烈な店名ですけんど、前に寄せさせてもらった時の食事もこじゃんと美味しく、忘れられないレストランとなっちょりました。ついでに、最初に来た時には、この駅で降りた事がなかったので、迷ってようやく辿り着いたので道順もバッチリ忘れられません(笑)けんど、道を覚えたら駅の南口からすぐですきに、自分のような地方から来られた方でも、まっこと5分で到着しますぞね。


今回のメニューを拝見しますと「竹虎くん」と言うことで、「愛と胃袋」のシェフ鈴木信作さんには気を使っていただき、竹虎の竹炭を使うた料理を用意して頂いちょりました。実は以前のブログでもお話したように、竹炭コロッケは前にも一度だけ別のお店で食した事があったがです。その時の竹炭コロッケは見た目が、まさに竹炭の真っ黒。ナイフで半分に割って見たら鮮やかな白という工夫がされちょりました。


信作シェフの創作はどんなやろうか?楽しみにしちょましたら運ばれてきた竹炭コロッケは白!ややっ!?これは...意外な色合いやと思い良く見たら、衣の下の方にうっすら黒さが見えよります。「なるほど、こう来たかよ...」この日の料理は竹虎くんだけに自分も携帯した虎竹箸で全部食させてもらいよりました。そこで、お箸で半分に割ってみたら、おおっ!中はやっぱり真っ黒ではないですか!日本料理は目で食べると言われよりますが、見た目で楽しむのは料理のジャンルを超えた万国共通の事ですろう。


実は今回の主役の「竹虎くん」は胃腸が弱っていた時期があり、その時には竹炭を食べさせたら調子がよくなったそうながです。竹炭で育ち、竹炭で食させていただく。考えたら、この一皿にどれだけの人々の手が掛かっちょりますろうか?最後に、その多くの人の思いを凝縮して出すのがシェフの仕事としたならこんな、やりがいのある仕事はないがぜよ。常に挑戦し続けられゆう信作シェフと、集っていただいた皆様、この日の一品は本当に感慨深いものになりましたぞね。


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