京銘竹、角竹作り その1

角図面竹


さて、先日竹セリ市で銘竹を色々と拝見させてもらいました。実は、竹虎には特産の虎竹ばかりがあるように思われちょりますが、今は少なくなったものの祖父の代から集めてきた県内外の銘竹が沢山あり、自分も小さい頃から、虎竹と同じように、この銘竹が暮らしと共にあったがです。大学卒業してから一人で住んでいた離れの玄関は、もともと一番最初の店舗だった所で天井が5メートルほどの高さになっていて、各地から来る色々な銘竹置き場になっていましたので、朝晩行き帰りに毎日観て、毎日触れていた馴染みの竹達でもあるがです。


そんな銘竹の中でも京都で作られる角竹という竹があるがぜよ。竹は丸いのが常識かと思いますがこの常識に真っ向から挑戦して、誰も見た事のないような角い竹を創り出す先人がいるから、まっこと竹の世界というのは面白いがぜよ!


清水銘竹店、清水さん


京都の清水銘竹店さんは祖父の代からのお付き合いのある老舗竹屋さんぜよ。自分も学生時代や修行中には運転手の助手として大型トラックに竹を満載して、京都まで何度か走ってきた事があるがです。小さい頃から角竹は良く目にする竹であり、木枠にはめて作る事を竹虎に来られていた清水さんのお父さんや、祖父から聞いていました。けんど、話しに聞くだけで実際に見た事がなかったので、今回、どんな仕事をされているのか様子を拝見させていただける事になり、まっことドキドキワクワクやったがぜよ。


京都の孟宗竹林


京都は孟宗竹の筍の栽培が盛んな地域でもありますぜよ。こちらの筍と高知で自分などが職人さんから頂く筍の違いは、土の中にあるか、土の外にあかるやろうか?高知では土から出て大きく育った筍を食用にしますぞね。穂先筍というて人の身長より高くなったような筍を採る事もあります。ところが、京都の筍は土の中にある真っ白く柔らかい筍ちや。土から出て黒くなった筍は「クマ」と呼ばれてあまり食されないようです。


まあ、それはさておき角竹作りは、そんな筍シーズン真っ直中の竹林で行われるがぜよ。手入れの行き届いた竹林は、まさに筍畑ちや。こんな美しく気持ちのよい職場は、何処を探してもちょっと他にいはないがぞね。


角竹用木枠


これが角竹作りに使われる木枠ぜよ!高知でこれを見みせたら、鰻を捕る道具かよ...?などと言われそうなくらい、まっことソックリですぞね。竹製で編まれたウケの他に、ちょうどこんな大きさの木枠でつくられた細長い鰻捕り用の道具が使われちゅうがです。けんど、これは鰻などとんでもないがぞね。角竹を作る筍用として使われる伝統ある道具なのです。清水銘竹店さんでも、お父さんの代から40年、50年と大事にしながら、ずっとこの木枠を毎年使って角竹作りをされてこられちゅうのです。


孟宗竹林にて清水さん


どうやって筍に木枠をはめていくのだろうか?自然の筍だから同じ大きさのものとかあるはずありません。また、その時々により筍の成育状態も違いますろう。1日に120センチも伸びることのある爆発的な成長力のある筍相手やき、まっこと、想像もできないような苦労があるのではないろうか?


「明日は作業があるさかい、見せてあげるよって」


竹林で見る職人さんの姿は、本当に格好がエイものです。自分達の仕事や竹林に並々ならぬ自信と誇りを感じるがです。


竹材置き場


竹葉の敷き詰められた竹林の中にリンが置かれちょります。伐採した竹を積み上げて保管する場所になっているのです。考えたら、この辺りの竹林は平地が多いのです。手入れの行き届いた竹林は差し込む陽射しも柔らかく絶好の竹置き場ぜよ。


竹の養生


ふと見ると、竹置き場にある一本の竹の根元何やら巻き付けられています。竹を積み上げた時に、当たってキズなどが入らないようにという、この竹への思いやりですぞね。こうやって竹を愛しむ仕事人の方々です、創り出す角竹は、さぞ素晴らしいものに違いないと期待が高まるのです。


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