大きなツガニ籠

ツガニ(モズクガニ)籠


大迫力の竹筒がありましたぞね。ここは美しい竹林に囲まれた山深い土地、もちろんウツボ漁ではないし、この太さだとウナギ漁でもありません。そこで、川ガニ(モクズガニ)漁に使う竹籠だと分かるのです。そういえば近くには大きな川が音をたてて流れちょりました、シーズンはもう少し先ですが、あれだけの清らかな流れやったら沢山のカニが捕れるのだろうなあ、立派な編み込みを眺めながら思うがです。


高知ではモズクガニの事をツガニと呼びますが、このカニはツガニ汁にすると本当に美味しいがです。人によったら上海ガニより美味しいとも言われて、食通の方にもファンの多い食材の一つぜよ。内職さんに毎年ツガニ漁をされている方がいて、山岸家の食卓には季節になると大きな鍋に一杯のツガニ汁をこしらえちょって、毎日のように食させてもらいよりました。豆腐や野菜を入れても良いのですが、好きなのは素麺ですろうか。ツガニの濃厚な味に素麺の淡泊な味と喉ごしは、まっこと何杯でもいける美味しさ、本当に豊かな川の恵みそのものながです。


ツガニ(モズクガニ)籠


ツガニ籠の構造は基本的にウナギウケ(鰻筌)と同じなのですがカニの場合はウナギのように俊敏な動きがないせいか、籠入り口のエギ(ゴジタ)と言われる部分は竹と竹の間隔も開いて中央もガッチリ閉じていないのが特徴ぞね。数年前になりますが竹職人さんに、先端に向かって細くなった違うタイプのツガニ籠を頂いた事がありますが、その籠もエギは閉じていません。


ツガニを沢山いただく時には一度に調理できず農家さんが柑橘類の運搬に多用する頑丈なプラスチックケースに蓋を付けて自宅の池に沈めていたほどで、さながらツガニの生け簀状態。今にして思えば、こじゃんと贅沢な話ですにゃあ。


川魚を捕るための竹細工というのは全国的に見ても実はかなり種類も多く、ウナギやツガニ漁だけではなくてハヤ(ウグイ)やコイ漁に使われたものなどもあります。それぞれ形も違い面白いのですが、たとえば魚籠ひとつ取っても竹の種類、編み方、形、大きさなども種類が沢山あって地域性があり、捕まえる魚の種類によってはアッと驚くような竹籠もあったりして本当に興味が尽きないものながです。


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