別誂えで編んだ四ツ目角籠

竹角籠、竹虎四代目(山岸義浩)


表皮を剥いだ磨きの美しい竹ヒゴを使って、ちょっと見慣れない感じの角籠が編み上がってきましたぞね。見慣れないのは、それもそのはずこの籠はいつも作っているものではなくお客様の注文で、わざわざそのサイズに合わせて別誂えで編んだものなのです。


実はお客様から預かった籠は竹製ではありませんでした。非常に丁寧なヒゴ取りと編み込み、形からかなりの熟練した職人さんが編んだ籠だというのが分かる山葡萄製なのです。


山葡萄も非常に堅牢な素材で、自分も母から譲られたセカンドバックを持っていますが使い込むほどに真っ黒い渋い色合いになり、まるで革製品のように黒光りしてきます。自分が入社した頃には大きな箱一杯にはいって倉庫に眠っているような商品でしたが今では職人さんも少なくなり、欲しいと思っても手が届かない高嶺の花のような籠となっています。お客様はこの山葡萄の籠を腰に提げて果物の収穫に使っておられるようでしたので考えれば贅沢なご使用方法でもあるのです。


竹角籠


けんど竹も負けてはおりませんぜよ。この角竹籠も収穫する果物にも、農家の方の手にも優しく、そして強く、しなりがあり腰当たりも素晴らしいのです。そして数年、数十年愛用している知らず知らずの間に青い色合いが消え飴色に変わり、深まり、手放せない愛着の籠に進化するのです。


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